慢性期・維持期冠動脈疾患に対する心臓リハビリテーションの有効性に関するレビュー

目的:冠動脈疾患を呈した患者に対する慢性期および維持期心臓リハビリテーション(以下,心リハ)の効果に関する研究の現状と課題を,ナラティブレビューを行うことによって明らかにする.  方法:2021年に冠動脈疾患患者に対する心リハの効果を評価したシステマティックレビューおよびCENTRALとMEDLINEにおいて2022年9月までに発表された文献から,6カ月以上運動療法を継続して行った16文献を抽出した.  結果:冠動脈疾患に対する慢性期・維持期の心リハ実施による有効性の検討において,予後改善効果については,死亡率や心筋梗塞の再発率,再入院率に関しては一定の傾向は示さなかった.一方で主要心血管イベ...

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Published in心臓 Vol. 55; no. 10; pp. 1003 - 1014
Main Authors 足利, 光平, 明石, 嘉浩, 加藤, 祐子, 神谷, 健太郎, 山本, 周平, 岡村, 正嗣, 田中, 伸弥, 土川, 洋平, 清水, 将史, 吉岡, さゆり, 中山, 敦子, 牧田, 茂, 磯部, 光章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2023
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:目的:冠動脈疾患を呈した患者に対する慢性期および維持期心臓リハビリテーション(以下,心リハ)の効果に関する研究の現状と課題を,ナラティブレビューを行うことによって明らかにする.  方法:2021年に冠動脈疾患患者に対する心リハの効果を評価したシステマティックレビューおよびCENTRALとMEDLINEにおいて2022年9月までに発表された文献から,6カ月以上運動療法を継続して行った16文献を抽出した.  結果:冠動脈疾患に対する慢性期・維持期の心リハ実施による有効性の検討において,予後改善効果については,死亡率や心筋梗塞の再発率,再入院率に関しては一定の傾向は示さなかった.一方で主要心血管イベントに関しては,リスク軽減効果を示唆する結果であった.また,運動耐容能の上昇やQOL向上に関しても慢性期・維持期心リハの実施が効果を発揮する報告が多数を占めた.  結論:慢性期・維持期の心リハ実施は心血管イベントの発症を抑制できる可能性があり,運動耐容能の改善やQOL向上にも寄与できる可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.1003