弾性ストッキングを着用している患者の「3点チェック」の重要性

弾性ストッキング(以下ES)は術後静脈血栓症予防のため標準的に使用するが,皮膚障害が報告されている.当院ではES着用が慣習化し皮膚障害を予防する意識が薄い傾向にあった.そこで,ESによるトラブルの発生状況を把握し皮膚障害予防の効率的な観察方法を検討した.ES着用の観察ポイントを上端,踵,つま先の位置の3点とし,1日2回観察した.不適切な着用があったものを「3点チェック」異常とした.全身麻酔下で手術を受け,肺塞栓予防プログラムを実施した57例を対象とし,「3点チェック」異常の有無,「皮膚異常」の発生状況を調査した.その結果「皮膚異常」を12例(21.0%)認め,「3点チェック」異常があれば「皮膚...

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Published in静脈学 Vol. 35; no. 1; pp. 11 - 15
Main Authors 福岡, 友音, 榎本, 由香, 堀江, 江美子, 後藤田, 晶, 平島, 祐子, 葛籠, 比佐美, 荒瀬, 裕己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 25.02.2024
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Summary:弾性ストッキング(以下ES)は術後静脈血栓症予防のため標準的に使用するが,皮膚障害が報告されている.当院ではES着用が慣習化し皮膚障害を予防する意識が薄い傾向にあった.そこで,ESによるトラブルの発生状況を把握し皮膚障害予防の効率的な観察方法を検討した.ES着用の観察ポイントを上端,踵,つま先の位置の3点とし,1日2回観察した.不適切な着用があったものを「3点チェック」異常とした.全身麻酔下で手術を受け,肺塞栓予防プログラムを実施した57例を対象とし,「3点チェック」異常の有無,「皮膚異常」の発生状況を調査した.その結果「皮膚異常」を12例(21.0%)認め,「3点チェック」異常があれば「皮膚異常」の発生割合は有意に高かった.「3点チェック」に異常があることが「皮膚異常」発生のリスクと判断し,予防的な介入を行うことが重要である.皮膚の異常が発生する前に介入するべき症例を判断できるという点で,「3点チェック」はESの適切な着用の指標となり得る.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.23-9