脊髄障害性疼痛症候群の疼痛に対してオキシコドン内服徐放剤が奏効した1例

脊髄障害性疼痛症候群の患者にオキシコド ンを用いて疼痛が著明に改善した1例を報告する。神経障害性疼痛の多くはイオンチャネルによる細胞の脱分極で引き起こされ, 難治性である。オピオイドは一般的に効神経障害性疼痛に対する効果に乏しく, 神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインでは第三選択薬となっている。しかし, 本症例ではオキシコドンの追加で症状が著明に改善した。オキシコドンについては, 近年, 細胞内情報伝達系を介した鎮痛効果の他に, 細胞膜内のGタンパク質活性型内向き整流性K+チャネルによって中枢神経系のニューロン細胞を過分極にして神経障害性疼痛への効果をもたらすことが報告されており, 自験例もそれ...

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Published in日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 55 - 62
Main Authors 須藤, 一郎, 佐々木, 陽平, 小早川, 真由美, 橋本, 龍也, 鈴木, 賢二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.01.2024
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Summary:脊髄障害性疼痛症候群の患者にオキシコド ンを用いて疼痛が著明に改善した1例を報告する。神経障害性疼痛の多くはイオンチャネルによる細胞の脱分極で引き起こされ, 難治性である。オピオイドは一般的に効神経障害性疼痛に対する効果に乏しく, 神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインでは第三選択薬となっている。しかし, 本症例ではオキシコドンの追加で症状が著明に改善した。オキシコドンについては, 近年, 細胞内情報伝達系を介した鎮痛効果の他に, 細胞膜内のGタンパク質活性型内向き整流性K+チャネルによって中枢神経系のニューロン細胞を過分極にして神経障害性疼痛への効果をもたらすことが報告されており, 自験例もそれを裏付けるものである。オピオイドは処方に際しての配慮が必要なことが多く煩雑な面もあるが, 有効性が比較的高いオキシコドンは神経障害性疼痛に対する治療薬として念頭に置くべき選択肢の一つであると考えた。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.20.1_55