ヒト羊膜由来細胞を用いた細胞移植治療法確立に向けて

「1. はじめに」臓器移植は臓器機能不全に対して確立された根治治療法であり, 本邦においても一般医療として広く認知されるに至っている. しかし, 臓器移植には高度侵襲を伴う移植手術が必要となり, さらに脳死ドナーが希少である本邦においては, 移植ドナーの多くを生体ドナーに頼っており, ドナー不足は極めて深刻な状況にある. このような状況の中, 臓器移植を代替もしくは補完する低侵襲治療法として細胞移植の臨床導入が試みられており, 肝臓移植の代替療法として肝細胞移植が臨床応用されるに至っている. 特に, 種々の遺伝的な異常によりごく一部の代謝機能のみが障害されることで引き起こされる先天性代謝異常症...

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Published inOrgan Biology Vol. 29; no. 2; pp. 124 - 127
Main Authors 星合, 哲郎, 田中, 美也子, 亀井, 尚, 戸子台, 和哲, 海野, 倫明, 三木, 敏生, 後藤, 昌史, 齋藤, 昌利, 岡田, 薫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 2022
日本臓器保存生物医学会
Subjects
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ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.29.124

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Summary:「1. はじめに」臓器移植は臓器機能不全に対して確立された根治治療法であり, 本邦においても一般医療として広く認知されるに至っている. しかし, 臓器移植には高度侵襲を伴う移植手術が必要となり, さらに脳死ドナーが希少である本邦においては, 移植ドナーの多くを生体ドナーに頼っており, ドナー不足は極めて深刻な状況にある. このような状況の中, 臓器移植を代替もしくは補完する低侵襲治療法として細胞移植の臨床導入が試みられており, 肝臓移植の代替療法として肝細胞移植が臨床応用されるに至っている. 特に, 種々の遺伝的な異常によりごく一部の代謝機能のみが障害されることで引き起こされる先天性代謝異常症は, 肝臓全体の機能が低下する末期肝不全とは全く異なる病態であり, 自己肝を温存した状態で欠損した代謝機能のみを補完する肝細胞移植は極めて合理的な治療法であると考えられ, 肝臓移植を肝細胞移植で代替することのメリットは極めて大きい.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.29.124