ダイナミック造影MRIによる循環動態定量化における参照領域の自動抽出法の検討

ダイナミック造影MRIでは、組織内の造影剤の濃度変化を経時的に画像化し、時系列データを薬物動態モデルに基づいて解析することで、血流・血管透過性(循環動態)を表す移行速度定数(kep)を求めることができる。循環動態の定量評価には対象領域と参照領域のkep比が用いられるため、正確な参照領域の選択が必要となる。しかし、形状が複雑で不均質な組織から、手動で参照領域を選択するのは難しい。また、kep値は正常部位や筋肉、脂肪など多くの部位で類似した値を示すため、kep値に基づく参照領域の自動抽出は精度が低い。本研究では、前立腺腫瘍を対象に、複数の画像情報から自動的に参照領域となる筋肉を簡便かつ高精度で抽出...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S360
Main Authors 尾松, 徳彦, 生駒, 洋子, 岸本, 理和, 小畠, 隆行, 東, 達也, 辻, 比呂志, 立花, 泰彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S360

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Summary:ダイナミック造影MRIでは、組織内の造影剤の濃度変化を経時的に画像化し、時系列データを薬物動態モデルに基づいて解析することで、血流・血管透過性(循環動態)を表す移行速度定数(kep)を求めることができる。循環動態の定量評価には対象領域と参照領域のkep比が用いられるため、正確な参照領域の選択が必要となる。しかし、形状が複雑で不均質な組織から、手動で参照領域を選択するのは難しい。また、kep値は正常部位や筋肉、脂肪など多くの部位で類似した値を示すため、kep値に基づく参照領域の自動抽出は精度が低い。本研究では、前立腺腫瘍を対象に、複数の画像情報から自動的に参照領域となる筋肉を簡便かつ高精度で抽出する手法を検討した。 ダイナミック造影画像から得られたkep-weighted画像に加え、造影剤の初期取り込み画像、解剖学的情報を表すT1強調画像を用い、画素ごとに各画像の正規化画素値を要素とする3次元ベクトルを作成した。この3次元空間においてk-means法によるクラスタリングを行い、3種類の画素値の分布パターンに基づいた領域分割を行った。その結果、造影剤の移行速度が早い腫瘍部位、遅い正常部位や筋肉、動脈血管、骨髄、脂肪などを異なるクラスタとして分類することができた。 本手法は、造影剤の濃度変化パターンに加え、初期取り込みや解剖学的情報を付加することで参照領域を自動抽出することができ、腫瘍の循環動態の定量評価に有用と考えられる。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S360