高圧下での細胞動態イメージング

組織や器官を構成する細胞は、ずり応力、圧力、伸展圧縮等の機械刺激を受容し、細胞自身や組織の機能維持に利用している。 特に、 膝等の軟骨組織や歯周組織等は、歩行や咬合等の日常生活に伴った圧力にさらされている。しかしながら、これらの組織に存在する細胞の圧力に対する受容応答メカニズムの解明には未だ研究の余地があった。その理由の一つは、高圧力下での細胞動態の分子レベルでのイメージング技術が多く存在しないことである。本研究では、細胞の高圧受容応答メカニズムの解明を最終目的とし、静水圧負荷下での細胞及び、細胞内分子の挙動計測を実施した。その結果、大気圧下(0。1 MPa)では、軟骨細胞及び歯根膜細胞の形態...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S256
Main Authors 藤田, 彩乃, 西山, 雅祥, 成瀬, 恵治, 森松, 賢順, 綾, 晃記
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S256

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Summary:組織や器官を構成する細胞は、ずり応力、圧力、伸展圧縮等の機械刺激を受容し、細胞自身や組織の機能維持に利用している。 特に、 膝等の軟骨組織や歯周組織等は、歩行や咬合等の日常生活に伴った圧力にさらされている。しかしながら、これらの組織に存在する細胞の圧力に対する受容応答メカニズムの解明には未だ研究の余地があった。その理由の一つは、高圧力下での細胞動態の分子レベルでのイメージング技術が多く存在しないことである。本研究では、細胞の高圧受容応答メカニズムの解明を最終目的とし、静水圧負荷下での細胞及び、細胞内分子の挙動計測を実施した。その結果、大気圧下(0。1 MPa)では、軟骨細胞及び歯根膜細胞の形態に顕著な変化は見られなかったが、20 MPa以上の静水圧を負荷すると、細胞およびその内部にある細胞骨格分子であるアクチンストレスファイバーの縮小が見られた。減圧後も加圧処理を施した同じ細胞の観察を続けたところ、基板表面に沿って広がる様子が観察された。これらの知見は、生理的な閾値を超える力学刺激が軟骨組織や歯周組織の破壊を促進することを示唆する。本研究で開発した実験系を用いることで、軟骨組織や歯周組織での細胞の圧力負荷受容応答メカニズムの解明が今後期待され、そこで得られる知見は基礎研究のみならず、臨床応用に寄与するものと考える。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S256