健診結果から10年後の生活習慣病リスクを推定できないか?~JPMスコアの開発

【目的】生活習慣病は慢性疾患のため長期的な1次予防への取り組みが必要である。しかし、短期的には検査数値の変化が小さく自覚症状が乏しい場合も多く、1次予防に取り組むきっかけづくりが難しい。生活習慣病のリスク推定スコア (以下、JPMスコア) を健診・人間ドックの受診機会に、簡便かつ低コストでただちに受診者に報告することが可能になれば、特定保健指導や人間ドックの事後指導に活用できる。【方法】JPMスコア予測式作成における対象者は2011年と2021年の両方を受診した51,771人 (男:35,215人 42.4歳±7.12、女:16,556人 42.7歳±6.93)。ロジスティック回帰モデルによっ...

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Published in総合健診 Vol. 50; no. 5; pp. 439 - 446
Main Authors 橋本, 誠, 谷, 直道, 赤津, 順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.09.2023
日本総合健診医学会
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Summary:【目的】生活習慣病は慢性疾患のため長期的な1次予防への取り組みが必要である。しかし、短期的には検査数値の変化が小さく自覚症状が乏しい場合も多く、1次予防に取り組むきっかけづくりが難しい。生活習慣病のリスク推定スコア (以下、JPMスコア) を健診・人間ドックの受診機会に、簡便かつ低コストでただちに受診者に報告することが可能になれば、特定保健指導や人間ドックの事後指導に活用できる。【方法】JPMスコア予測式作成における対象者は2011年と2021年の両方を受診した51,771人 (男:35,215人 42.4歳±7.12、女:16,556人 42.7歳±6.93)。ロジスティック回帰モデルによって予測式を作成した。JPMスコアは0~100%で10年後の生活習慣病リスクを表す。性能比較のために機械学習モデル (Support Vector Machine<以下、SVM>とRandom Forest<以下、RF>、Light Gradient Boosting Machine<以下、LGB>) を使用した。性能評価は3つのデータセット (2008-2018年、2009-2019年、2010-2020年) を用いて実施した (データ抽出基準は予測式を作成した2011-2021年と同一)。【結果】性能評価の3年間平均 (accuracy score、Area Under the Curve、マシューズ相関係数) はロジスティック回帰モデル:77.2%、0.823、0.407、SVM:77.2%、0.796、0.406、RF:78.3%、0.839、0.447、LGB:78.4%、0.842、0.451であった。【考察】機械学習モデル (LGB) の性能が最も高かったが、大きな差は観察できなかった。計算コストが低く、アドバイスコメント生成の根拠を示すことが容易なロジスティック回帰モデルを採用し、当会基幹システムへの実装を目指す。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.2023-15