精神科クリニックを受診した社交不安症患者における専門的支援の体験プロセスに関する質的検討

社交不安症(SAD)の患者が専門的支援に繋がることを阻害あるいは促進する要因,および専門的支援を受けることが患者にとってどのような体験であるかを調査した。SAD患者5名に対し実施したインタビュー内容についてKJ法を援用した質的分析を行った結果,促進要因としては症状悪化が挙げられ,SAD認知度の更なる向上が必要であることが示唆された。阻害要因としては「病気ではなく性格」と考えたことや周囲の無理解,心理的・物理的ハードルが挙げられ,阻害要因の低減のためにはインターネット情報の活用が有効と考えられた。専門的支援を受ける体験においては,支援先を変更する患者が多く見られ,適切なSAD対処や丁寧な説明姿勢...

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Published in不安症研究 Vol. 13; no. 1; pp. 24 - 37
Main Authors 高橋, 美保, 貝谷, 久宣, 坂元, 薫, 本田, 由美, 佐々木, 司, 境, 洋二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本不安症学会 30.11.2021
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ISSN2188-7578
2188-7586
DOI10.14389/jsad.13.1_24

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Summary:社交不安症(SAD)の患者が専門的支援に繋がることを阻害あるいは促進する要因,および専門的支援を受けることが患者にとってどのような体験であるかを調査した。SAD患者5名に対し実施したインタビュー内容についてKJ法を援用した質的分析を行った結果,促進要因としては症状悪化が挙げられ,SAD認知度の更なる向上が必要であることが示唆された。阻害要因としては「病気ではなく性格」と考えたことや周囲の無理解,心理的・物理的ハードルが挙げられ,阻害要因の低減のためにはインターネット情報の活用が有効と考えられた。専門的支援を受ける体験においては,支援先を変更する患者が多く見られ,適切なSAD対処や丁寧な説明姿勢など,支援を受け続けるモチベーション維持の必要性が窺われた。また,適切な心理教育により,自らの症状を性格とは捉えなくなるなど,症状との向き合い方が変容する様子が見られた。
ISSN:2188-7578
2188-7586
DOI:10.14389/jsad.13.1_24