10年間経過観察しえた心臓calcified amorphous tumor(CAT)の1剖検例

症例は81歳女性.既往歴に2型糖尿病と脳梗塞がある.X年,CTで心臓腫瘍が疑われ当院受診.UCG,CT,MRIにて僧帽弁輪部から房室間溝に沿って広がる径36 mmの石灰化腫瘤がみられ,骨シンチで骨化形成反応を認めた.外科的切除は困難であった.その後腫瘤は増大し,X+5年に僧帽弁狭窄兼閉鎖不全が出現,X+9年に急性心不全をきたした.X+10年,誤嚥性肺炎にて死亡.剖検にて心臓腫瘤は,60×60 mm大で表面は骨化し,乾酪変性様内容物を認めcalcified amorphous tumor(CAT)と診断された. CATは稀な非腫瘍性石灰化腫瘤であり,主に径20 mm以下の大きさで末期腎不全透析患...

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Published in心臓 Vol. 52; no. 10; pp. 1163 - 1168
Main Authors 松山, 怜美, 仁禮, 隆, 土橋, 慎太郎, 斉藤, 大雅, 小原, 浩, 日吉, 康長, 有馬, 秀紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.10.2020
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は81歳女性.既往歴に2型糖尿病と脳梗塞がある.X年,CTで心臓腫瘍が疑われ当院受診.UCG,CT,MRIにて僧帽弁輪部から房室間溝に沿って広がる径36 mmの石灰化腫瘤がみられ,骨シンチで骨化形成反応を認めた.外科的切除は困難であった.その後腫瘤は増大し,X+5年に僧帽弁狭窄兼閉鎖不全が出現,X+9年に急性心不全をきたした.X+10年,誤嚥性肺炎にて死亡.剖検にて心臓腫瘤は,60×60 mm大で表面は骨化し,乾酪変性様内容物を認めcalcified amorphous tumor(CAT)と診断された. CATは稀な非腫瘍性石灰化腫瘤であり,主に径20 mm以下の大きさで末期腎不全透析患者に発症する.本症例は初診時,径36 mmと大きく腎機能も正常で従来の報告と異なっており,かつ10年間進行過程を観察しえた極めて稀な症例と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.1163