心電図所見による左室心室瘤の原因疾患の鑑別
背景:左室心室瘤の原因疾患には,陳旧性心筋梗塞(以下OMI:old myocardial infarction)と非虚血性心疾患(非OMI)が存在するが,この2群間の心電図所見の差異についてはほとんど報告がない. 方法:心エコー図検査で左室心室瘤を認め,その原因疾患が確定診断された患者33名において,Cabrera配列で整理した心電図所見を解析した. 結果:心室瘤を認めた33名の患者のうち,OMI患者が18名,非OMI患者が15名であった.これら2群の心電図所見の比較では,異常Q波と陰性T波の出現分布に有意差が認められた.OMI群ではV1-V4誘導の異常Q波出現が有意に多く,非OMI群ではⅠ,...
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Published in | 心臓 Vol. 52; no. 12; pp. 1390 - 1395 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.12.2020
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.52.1390 |
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Summary: | 背景:左室心室瘤の原因疾患には,陳旧性心筋梗塞(以下OMI:old myocardial infarction)と非虚血性心疾患(非OMI)が存在するが,この2群間の心電図所見の差異についてはほとんど報告がない. 方法:心エコー図検査で左室心室瘤を認め,その原因疾患が確定診断された患者33名において,Cabrera配列で整理した心電図所見を解析した. 結果:心室瘤を認めた33名の患者のうち,OMI患者が18名,非OMI患者が15名であった.これら2群の心電図所見の比較では,異常Q波と陰性T波の出現分布に有意差が認められた.OMI群ではV1-V4誘導の異常Q波出現が有意に多く,非OMI群ではⅠ,-aVR,Ⅱ,aVF,Ⅲ誘導の陰性T波出現が有意に多く認められた.特にV3誘導における異常Q波とⅢ誘導における陰性T波において出現頻度の差が顕著であった.これらの2つの組み合わせ(V3誘導に異常Q波がある,Ⅲ誘導の陰性T波がない)によって原因疾患がOMIであることを診断する,感度は0.667,特異度は1.000,陽性的中率は1.000,陰性的中率は0.714を示した. 結論:心エコー図検査で心室瘤を認めた患者において,その心電図でV3誘導に異常Q波がみられⅢ誘導に陰性T波がみられない場合は,心室瘤の原因疾患が陳旧性心筋梗塞である可能性が高く,非虚血性心疾患の心室瘤との鑑別に有用である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.52.1390 |