全身性毛細血管漏出症候群の1例

脱水と溢水を繰り返し,心不全加療に難渋し全身性毛細血管漏出症候群と診断した症例を報告する.症例は66歳,男性.入院時の主訴は意識障害でBP 85/63mmHgと低血圧,血液検査ではHt上昇ならびに低アルブミン血症が認められたため,大量補液にて血圧は改善するも溢水となる.その翌日から急に5,000mL/日以上の多尿が認められ脱水となることを繰り返した.各種ホルモン検査および負荷試験はいずれも異常は認められなかった.しかし,尿中Na排泄量が多いため食塩負荷およびフルドロコルチゾンの投与を開始し増量したところ,再び溢水に伴う体重増加や心拡大,胸水貯留が認められたが用量の調整にて上記発作を出現すること...

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Published in心臓 Vol. 44; no. 11; pp. 1432 - 1436
Main Authors 菅原, 里恵, 堀中, 繁夫, 八木, 博, 石村, 公彦, 小口, 渉, 矢野, 秀樹, 石光, 俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.11.2012
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:脱水と溢水を繰り返し,心不全加療に難渋し全身性毛細血管漏出症候群と診断した症例を報告する.症例は66歳,男性.入院時の主訴は意識障害でBP 85/63mmHgと低血圧,血液検査ではHt上昇ならびに低アルブミン血症が認められたため,大量補液にて血圧は改善するも溢水となる.その翌日から急に5,000mL/日以上の多尿が認められ脱水となることを繰り返した.各種ホルモン検査および負荷試験はいずれも異常は認められなかった.しかし,尿中Na排泄量が多いため食塩負荷およびフルドロコルチゾンの投与を開始し増量したところ,再び溢水に伴う体重増加や心拡大,胸水貯留が認められたが用量の調整にて上記発作を出現することなく安定した状態で約2年間,外来通院内服加療した.再度心不全発症し,入院治療するも死亡.全身性毛細血管漏出症候群は,非常に稀な疾患であるが通常の加療に反応しないうっ血性心不全には,当疾患も鑑別疾患の1つとして念頭におくべきと考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1432