加速度脈波による血管年齢推定の高精度化

本稿では,加速度脈波にもとづく血管年齢推定で問題となる波形選択,波形ごとのパラメータ(極値)検出,血管年齢推定式の改善について新たな手法および推定式を提案する.現代病の1つとして動脈硬化があげられ,厚生労働省の調べによると,日本人の四大死因に含まれる心疾患と脳血管疾患の原因の1つとされている.動脈硬化は自覚症状がない上に測定の機会が少なく,手遅れになってしまうことからサイレントキラーのひとつと言われている.このような背景から,日常的な動脈硬化度(血管年齢)の測定が求められる.今回波形選択では,解析者による判別の個人差を防ぐため,目視による部分選択から全波形を用いて自動で適応的に波形を選択するア...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S117
Main Authors 坂田, 琴実, 小林, 邦久, 加瀬田, 裕斗, 渋井, 豊仁, 若林, 哲, 廣瀬, 玖実, 八名, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
Online AccessGet full text
ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S117

Cover

More Information
Summary:本稿では,加速度脈波にもとづく血管年齢推定で問題となる波形選択,波形ごとのパラメータ(極値)検出,血管年齢推定式の改善について新たな手法および推定式を提案する.現代病の1つとして動脈硬化があげられ,厚生労働省の調べによると,日本人の四大死因に含まれる心疾患と脳血管疾患の原因の1つとされている.動脈硬化は自覚症状がない上に測定の機会が少なく,手遅れになってしまうことからサイレントキラーのひとつと言われている.このような背景から,日常的な動脈硬化度(血管年齢)の測定が求められる.今回波形選択では,解析者による判別の個人差を防ぐため,目視による部分選択から全波形を用いて自動で適応的に波形を選択するアルゴリズムを考案した.波形ごとのパラメータ検出では,緩やかな変化点だけでなく目視では確認できない変化点を検出するため,多次微分法を用いた新たな手法を考案し,その正当性を検証した.推定式では先行研究と同様に,誤差の大きい若年層と高齢層を除き,主成分回帰分析により直線型の推定式を算出した.解析データは男女3歳から87歳の計552名を対象とした.その結果,新たな解析である多次微分法を用いることで,従来法では解析不可な波形に対しても,年齢推定が可能となった.また独自に算出した推定式を用いることで,従来の血管年齢推定式による結果から大幅に誤差を縮めることができ,推定式の改善が見られた.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S117