1.腎機能低下に伴う薬物動態の変化に応じた薬物投与設定の実際

薬物が患者へ投与された場合, その多くは肝臓で代謝を受けるか, 腎臓により排泄されることで体内から消失する. このように, 生体が薬物を消失させる過程はクリアランスとよばれている. 腎臓には, 左右あわせて約200万のネフロンが存在する. そのひとつひとつで, 糸球体ろ過・尿細管分泌・尿細管再吸収の過程を経て, 腎クリアランスが形成されている. なかでも, 糸球体ろ過の腎クリアランスに占める割合は大きい. 腎機能の低下は, ネフロンの減少を伴う腎クリアランスの低下を引き起こす. このクリアランスの変化に応じて, 薬物は投与量の減量が必要となる. 薬剤が腎機能の影響を受けるか否か判断するためには...

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Published inCIRCULATION CONTROL Vol. 38; no. 3; pp. 198 - 199
Main Authors 田上, 治美, 柴田, 啓智, 平田, 純生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 2017
Japan Society of Circulation Control in Medicine
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ISSN0389-1844
DOI10.11312/ccm.38.198

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Summary:薬物が患者へ投与された場合, その多くは肝臓で代謝を受けるか, 腎臓により排泄されることで体内から消失する. このように, 生体が薬物を消失させる過程はクリアランスとよばれている. 腎臓には, 左右あわせて約200万のネフロンが存在する. そのひとつひとつで, 糸球体ろ過・尿細管分泌・尿細管再吸収の過程を経て, 腎クリアランスが形成されている. なかでも, 糸球体ろ過の腎クリアランスに占める割合は大きい. 腎機能の低下は, ネフロンの減少を伴う腎クリアランスの低下を引き起こす. このクリアランスの変化に応じて, 薬物は投与量の減量が必要となる. 薬剤が腎機能の影響を受けるか否か判断するためには, 3つの薬物動態パラメータが指標となる. タンパク非結合型分率・分布容積・尿中未変化体排泄率である. 薬物は血中においてアルブミンに代表されるようなタンパクと可逆的に結合している.
ISSN:0389-1844
DOI:10.11312/ccm.38.198