成因不明の心膜血腫を伴った滲出性収縮性心膜炎類縁の1症例

70歳代男性.労作時息切れや浮腫を主訴として当院を受診した.心エコーとCTで中程度の心嚢液貯留と高度な心膜肥厚を,MRIで左室下壁側の心膜に付着した腫瘤を認めた.心臓カテーテル検査では両心室の充満圧が均等化しており,滲出性収縮性心膜炎と診断した.その後乏尿となったため,緊急心嚢穿刺に続けて心膜開窓と腫瘤摘出術を行った.これにより循環動態は安定化し,尿量が回復して体重は入院時よりも約10 kg減少した.心膜腫瘤は器質化血腫であった.成因不明の心膜血腫を伴った滲出性収縮性心膜炎類縁の貴重な症例を経験したので報告する....

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Published in心臓 Vol. 50; no. 12; pp. 1296 - 1300
Main Authors 池内, 雅樹, 浦部, 由利, 安恒, 亨, 坂本, 真人, 田宮, 貞史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.12.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:70歳代男性.労作時息切れや浮腫を主訴として当院を受診した.心エコーとCTで中程度の心嚢液貯留と高度な心膜肥厚を,MRIで左室下壁側の心膜に付着した腫瘤を認めた.心臓カテーテル検査では両心室の充満圧が均等化しており,滲出性収縮性心膜炎と診断した.その後乏尿となったため,緊急心嚢穿刺に続けて心膜開窓と腫瘤摘出術を行った.これにより循環動態は安定化し,尿量が回復して体重は入院時よりも約10 kg減少した.心膜腫瘤は器質化血腫であった.成因不明の心膜血腫を伴った滲出性収縮性心膜炎類縁の貴重な症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.1296