心房細動を有するうっ血性心不全症例に対する両室ペーシングおよび左室単独ペーシングの急性効果

両室ペーシングは慢性心不全の新しい治療法として確立された.洞調律症例では左室単独ペーシングでも両室ペーシングと同様の効果を認めることが報告されている.そのため, 両者を併せて心室再同期治療 (CRT) ともよばれる.CRTについて, 心房細動 (AF) 患者を対象とした報告は少なく, 両室, 左室単独ぺーシングがAF患者の血行動態に及ぼす影響については詳細に検討されていない, そこで, 18名の心不全患者 (AF7名, 洞調律11名) を対象とし, 右室, 左室, 両室ぺーシングが心不全患者の血行動態に及ぼす影響について検討した. その結果, 左室収縮能は, 基本調律に関係なく, 左室単独ペー...

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Published in心電図 Vol. 24; no. 4; pp. 183 - 192
Main Authors 岡田, 太郎, 吉田, 幸彦, 坪井, 直哉, 山田, 功, 村上, 善正, 岡本, 光弘, 清水, 武, 伊藤, 昭男, 武藤, 真広, 因田, 恭也, 近藤, 隆久, 室原, 豊明, 外山, 淳治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2004
日本心電学会
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Summary:両室ペーシングは慢性心不全の新しい治療法として確立された.洞調律症例では左室単独ペーシングでも両室ペーシングと同様の効果を認めることが報告されている.そのため, 両者を併せて心室再同期治療 (CRT) ともよばれる.CRTについて, 心房細動 (AF) 患者を対象とした報告は少なく, 両室, 左室単独ぺーシングがAF患者の血行動態に及ぼす影響については詳細に検討されていない, そこで, 18名の心不全患者 (AF7名, 洞調律11名) を対象とし, 右室, 左室, 両室ぺーシングが心不全患者の血行動態に及ぼす影響について検討した. その結果, 左室収縮能は, 基本調律に関係なく, 左室単独ペーシング時, 両室ペーシング時に同等の改善がみられた.一方, 左室拡張能については, 洞調律症例ではペーシングによる改善はみられなかったが, AF症例では, 両室ペーシング時にのみ有意な改善が認められた.これらの結果から, AF症例においては, 左室単独ぺーシングよりも両室ペーシングのほうが有用である可能性が示された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.24.183