腫瘍内出血により貧血症状を呈した後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1 例

腫瘍内出血による貧血症状をきたした後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1 例を報告する。症例は75 歳,女性で,13cm 大の左腎頭側の後腹膜腫瘍と診断された。手術待機中にHb 7.6g/dL と貧血の進行を認め,CT で腫瘍内出血が疑われた。循環動態が安定しており,輸血を施行し,待機手術とした。結腸間膜,左副腎,Gerota 筋膜,左腎被膜を合併切除し,腫瘍摘出を行った。組織学的に孤立性線維性腫瘍と類似した所見であったが,免疫組織学的検査でCD34,MDM2,CDK4 陽性で,脱分化型脂肪肉腫と診断された。血腫近傍で組織学的切除断端陽性であった。局所再発,肺転移のため術後23 ヵ月で永眠された。腫瘍内出...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 1; pp. 33 - 36
Main Authors 北見, 智恵, 河内, 保之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.33

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Summary:腫瘍内出血による貧血症状をきたした後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1 例を報告する。症例は75 歳,女性で,13cm 大の左腎頭側の後腹膜腫瘍と診断された。手術待機中にHb 7.6g/dL と貧血の進行を認め,CT で腫瘍内出血が疑われた。循環動態が安定しており,輸血を施行し,待機手術とした。結腸間膜,左副腎,Gerota 筋膜,左腎被膜を合併切除し,腫瘍摘出を行った。組織学的に孤立性線維性腫瘍と類似した所見であったが,免疫組織学的検査でCD34,MDM2,CDK4 陽性で,脱分化型脂肪肉腫と診断された。血腫近傍で組織学的切除断端陽性であった。局所再発,肺転移のため術後23 ヵ月で永眠された。腫瘍内出血を伴う脱分化型脂肪肉腫はまれな病態で術前診断は困難であるが,本症を念頭に置き,surgical margin を十分に確保した切除が重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.33