アポトーシス細胞を模倣した抗炎症ポリマーの開発

バイオマテリアル分野の歴史の変遷を振り返ると、体内に人工物を投与・埋植した際に起きる免疫反応を回避する性質が求められてきたが、21世紀に入るとがん免疫の分野の研究が急速に進歩し、生体の免疫細胞に積極的に認識させることでがんを攻撃するようなバイオマテリアルの開発が盛んに行われるようになってきた。しかしこうした中、免疫回避(相互作用)や免疫誘導(強い相互作用)とは別に、比較的弱い相互作用によって免疫反応を積極的に寛容するバイオマテリアルの開発が注目を集めている。本稿では、特に死細胞(アポトーシス細胞)の有するスマートな免疫寛容作用を模倣したバイオマテリアル開発について紹介する。...

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Bibliographic Details
Published inDrug Delivery System Vol. 37; no. 2; pp. 149 - 158
Main Authors 荏原, 充宏, 田崎, 朱里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本DDS学会 25.03.2022
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ISSN0913-5006
1881-2732
DOI10.2745/dds.37.149

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Summary:バイオマテリアル分野の歴史の変遷を振り返ると、体内に人工物を投与・埋植した際に起きる免疫反応を回避する性質が求められてきたが、21世紀に入るとがん免疫の分野の研究が急速に進歩し、生体の免疫細胞に積極的に認識させることでがんを攻撃するようなバイオマテリアルの開発が盛んに行われるようになってきた。しかしこうした中、免疫回避(相互作用)や免疫誘導(強い相互作用)とは別に、比較的弱い相互作用によって免疫反応を積極的に寛容するバイオマテリアルの開発が注目を集めている。本稿では、特に死細胞(アポトーシス細胞)の有するスマートな免疫寛容作用を模倣したバイオマテリアル開発について紹介する。
ISSN:0913-5006
1881-2732
DOI:10.2745/dds.37.149