1.脳内レニン・アンジオテンシン系による循環調節-脳内レニンの役割
高血圧, 心不全の主たる病態として交感神経活性化があらためて重要視されている. 脳は末梢からの神経体液因子の入力を受け, その情報を脳内で統合・調節し交感神経活動を規定することにより, 末梢臓器に作用し循環調節を行っている. レニン・アンジオテンシン系 (RAS) は脳内にも存在し, 末梢のRAS 同様にアンジオテンシンIIとその受容体であるAT1受容体が大きな役割を担っている. RASの下流として起こる脳内AT1受容体活性化による活性酸素種の増加, また脳における活性酸素種の増加と一酸化窒素の活性低下が交感神経活性化の機序に重要であることが示されてきた. 一方で, RASの最上流, 律速酵素...
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Published in | CIRCULATION CONTROL Vol. 38; no. 3; pp. 191 - 192 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本循環制御医学会
2017
Japan Society of Circulation Control in Medicine |
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ISSN | 0389-1844 |
DOI | 10.11312/ccm.38.191 |
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Summary: | 高血圧, 心不全の主たる病態として交感神経活性化があらためて重要視されている. 脳は末梢からの神経体液因子の入力を受け, その情報を脳内で統合・調節し交感神経活動を規定することにより, 末梢臓器に作用し循環調節を行っている. レニン・アンジオテンシン系 (RAS) は脳内にも存在し, 末梢のRAS 同様にアンジオテンシンIIとその受容体であるAT1受容体が大きな役割を担っている. RASの下流として起こる脳内AT1受容体活性化による活性酸素種の増加, また脳における活性酸素種の増加と一酸化窒素の活性低下が交感神経活性化の機序に重要であることが示されてきた. 一方で, RASの最上流, 律速酵素であるレニンの脳内における役割は未だ不明な点が多く, 脳内レニンによる脳内RAS制御を介した循環調節については明らかになっていない. レニンには細胞外に分泌される分泌型レニンと, 新規に発見された細胞内に留まる細胞内レニンの2 種のアイソフォームがある. |
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ISSN: | 0389-1844 |
DOI: | 10.11312/ccm.38.191 |