上顎上方移動術の臨床的検討
「緒言」顎変形症のなかでも顔面高径の大きい症例で上顎の上方移動が望まれることは少なくない. また, 開咬症で下顎の時計回りの回転が認められる場合には, 上顎の臼歯部の上方移動により下顎骨移動前に下顎の反時計回りの回転が得られ, 良好な咬合が得られることになる. しかし, 残念ながら本邦において上顎上方移動について臨床的検討をおこなっている文献は把握できなかった. そこで, 当科で上顎上方移動術を行った症例の臨床成績等に関して検討を試みたので, その概要を報告する. 対象症例および検討方法 当科開設以来21年間に骨切り術を行った症例277例(平均年齢23.7歳)のなかで, 上顎上方移動を行った症...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 26 - 31 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
2000
日本顎変形症学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
DOI | 10.5927/jjjd1991.10.26 |
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Summary: | 「緒言」顎変形症のなかでも顔面高径の大きい症例で上顎の上方移動が望まれることは少なくない. また, 開咬症で下顎の時計回りの回転が認められる場合には, 上顎の臼歯部の上方移動により下顎骨移動前に下顎の反時計回りの回転が得られ, 良好な咬合が得られることになる. しかし, 残念ながら本邦において上顎上方移動について臨床的検討をおこなっている文献は把握できなかった. そこで, 当科で上顎上方移動術を行った症例の臨床成績等に関して検討を試みたので, その概要を報告する. 対象症例および検討方法 当科開設以来21年間に骨切り術を行った症例277例(平均年齢23.7歳)のなかで, 上顎上方移動を行った症例は女性3名, 男性1名の計4症例(1.4%), 平均年齢22.6歳で, これらの症例を今回の検討対象とした. なお, 唇顎口蓋裂症例や顔面非対称症例は今回の検討対象から除外した. 移動方向および移動量についてはFH平面を基準に水平方向の評価を, FH平面に直交する軸で垂直方向の評価を行い, 検討項目はBaileyら2)の指摘した3次元的変化に関する項目に準じた. 移動量は術前と術後1~2週に評価を行い, 後戻りについては術後評価後8ヵ月から17ヵ月目に移動後の位置からの変化として検討した. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd1991.10.26 |