HLA抗体産生ヒト化マウスモデル作製の変遷と今後の展望

「はじめに」 臓器移植後の管理や免疫抑制薬の進歩などにより, 我が国の臓器移植成績は年々向上してきている. 臓器移植後長期生着が得られるようになった一方で, 慢性抗体関連型拒絶反応によるグラフト臓器不全は依然として克服されるべき課題として挙げられている. 慢性抗体関連型拒絶反応にはドナー特異的HLA抗体(DSA)が関与していることが知られている. マウスモデルではDSA産生細胞が脾臓内に多く存在し, 多発性骨髄腫の治療薬であるプロテアソーム阻害剤BortezomibによるDSA産生抑制効果を示した報告などメカニズム解明が試みられている. しかしながら, ヒト細胞における慢性抗体関連型拒絶反応の...

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Published inOrgan Biology Vol. 30; no. 2; pp. 083 - 087
Main Authors 柳川, 泉一郎, 築山, 尚史, 田原, 裕之, 大段, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臓器保存生物医学会 2023
日本臓器保存生物医学会
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ISSN1340-5152
2188-0204
DOI10.11378/organbio.30.083

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Summary:「はじめに」 臓器移植後の管理や免疫抑制薬の進歩などにより, 我が国の臓器移植成績は年々向上してきている. 臓器移植後長期生着が得られるようになった一方で, 慢性抗体関連型拒絶反応によるグラフト臓器不全は依然として克服されるべき課題として挙げられている. 慢性抗体関連型拒絶反応にはドナー特異的HLA抗体(DSA)が関与していることが知られている. マウスモデルではDSA産生細胞が脾臓内に多く存在し, 多発性骨髄腫の治療薬であるプロテアソーム阻害剤BortezomibによるDSA産生抑制効果を示した報告などメカニズム解明が試みられている. しかしながら, ヒト細胞における慢性抗体関連型拒絶反応のメカニズムに関しては, 適切な動物モデルがないため詳細な機序が解明されておらず, 根治的治療法は確立されていないのが現状である. そこで, ヒト免疫担当細胞を用いたヒト化マウスモデルに着目し, HLA抗体産生機序や抗原特異的HLA抗体産生抑制効果を解析しうるモデルの開発に着手した.
ISSN:1340-5152
2188-0204
DOI:10.11378/organbio.30.083