光鼻腔通気度計の開発とその臨床応用の検討
被検者への器具の装着を必要とせず, 自然な呼吸状態での鼻腔通気状態を短時間に測定できるシステムとしてGlatzel nasal mirrorの原理を応用した光鼻腔通気度計 (Photo Rhinometer: PRM) を開発し, その臨床応用につき検討した. PRMは呼気鼻息中の水蒸気をガラス面に結露させた像を左右別々にテレビレート (1/30秒) で画像化し, 初期1,000msecの結露面積の平均値を結露面積 (cm2), 結露開始後90msec間の結露面積変化を結露面積速度 (cm2/sec) とし, それらの値から鼻腔通気度を評価するシステムである. また, 鼻息結露面積を時間に対し...
Saved in:
Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 102; no. 12; pp. 1287 - 1295 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
1999
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.102.1287 |
Cover
Summary: | 被検者への器具の装着を必要とせず, 自然な呼吸状態での鼻腔通気状態を短時間に測定できるシステムとしてGlatzel nasal mirrorの原理を応用した光鼻腔通気度計 (Photo Rhinometer: PRM) を開発し, その臨床応用につき検討した. PRMは呼気鼻息中の水蒸気をガラス面に結露させた像を左右別々にテレビレート (1/30秒) で画像化し, 初期1,000msecの結露面積の平均値を結露面積 (cm2), 結露開始後90msec間の結露面積変化を結露面積速度 (cm2/sec) とし, それらの値から鼻腔通気度を評価するシステムである. また, 鼻息結露面積を時間に対してプロットしたグラフ (PRMチャート) により, 左右の鼻腔通気状態を視覚的に観察評価することができる. 鼻症状および鼻疾患の有無に関係なく, 任意に選んだ成人100名を対象としてPRM測定を行った結果, 結露面積, 結露面積速度は正規分布を示した. 鼻腔通気度計の鼻腔コンダクタンスと結露面積 (r=0.66) および結露面積速度 (r=0.78) はともによい相関を示した. 臨床応用として, 慢性副鼻腔炎患者5症例, 急性副鼻腔炎患者10症例につき保存的治療を行い, その経時的変化を評価した. 鼻内所見の改善および自覚的鼻閉感の軽減を認めた症例ではPRMチャートの改善および結露面積, 結露面積速度の数値の向上が認められ, 鼻腔通気状態を評価する上でPRM測定は有用であった. |
---|---|
ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.102.1287 |