小児用ECMOのためのシーケンシャルフローポンプにおける数値流体解析

近年、救急領域においてECMOのデバイス開発や術後管理などが飛躍的に発展したことで重症呼吸不全による世界的に普及が進んでいる。今後、ECMOを用いた治療は移植へのブリッジデバイスとしての長期耐久性や管理、小児用のECMOといったことが中心に開発されると考えられる。小児用ECMOとして用いる装置が成人用と異なる点として、体格の小さい子供には成人用はプライミングに必要な充填量が多いこと、小児は成長に応じて必要な血液流量が増加していくことが挙げられる。特に血液ポンプでは、カニューレや人工肺による圧力損失を補償するために高揚程・低流量な差圧流量特性が必要であり、また長期耐久性となるとvWFなどの断裂を...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S279
Main Authors 小野, 俊哉, 安樂, 真樹, 磯山, 隆, 斎藤, 逸郎, 阿部, 裕輔, 原, 伸太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S279

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Summary:近年、救急領域においてECMOのデバイス開発や術後管理などが飛躍的に発展したことで重症呼吸不全による世界的に普及が進んでいる。今後、ECMOを用いた治療は移植へのブリッジデバイスとしての長期耐久性や管理、小児用のECMOといったことが中心に開発されると考えられる。小児用ECMOとして用いる装置が成人用と異なる点として、体格の小さい子供には成人用はプライミングに必要な充填量が多いこと、小児は成長に応じて必要な血液流量が増加していくことが挙げられる。特に血液ポンプでは、カニューレや人工肺による圧力損失を補償するために高揚程・低流量な差圧流量特性が必要であり、また長期耐久性となるとvWFなどの断裂を防止するために低回転数での駆動も必要となる。そこで本研究では、ECMO用血液ポンプとして開発しているシーケンシャルフローポンプを小型・低回転化するために、数値流体解析を用いた検討を行った。境界条件は仮想流体として密度1045kg/m3、粘度3.6mPa s、回転数と流量をパラメーターとして差圧流量曲線、流体効率およびせん断応力などの検討を行った。結果として、これまでとインペラー形状を大幅に変更することで、回転数2000rpmでの流量3L/minの条件の時に374mmHgの差圧となった。また流体効率は最大15.3%とこれまでのシーケンシャルフローポンプの中で最も高い効率となった。
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S279