ESWLが原因と考えられた精巣動脈仮性動脈瘤の1例

症例は74歳の男性で,26年前に右尿路結石症に対してESWLを施行されていた.今回は健診で肝機能異常を指摘され,精査目的に当院を受診した.腹部CTで盲腸壁に隣接する腫瘤性病変を認め,また回結腸動静脈根部周囲にリンパ節腫大を認めた.大腸内視鏡検査では盲腸粘膜に異常は認めなかった.確定診断および治療目的に領域リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.術中所見では精巣動静脈への浸潤が疑われたため,合併切除した.回盲部を切除し機能的端々吻合を行い手術を終了した.経過良好で,術後8日目に退院した.肉眼所見は25×20mm大の嚢胞構造で,内部に暗赤色の血液が充満した腫瘤であった.病理学的所見では精...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 10; pp. 1679 - 1683
Main Authors 奥田, 賢司, 木村, 賢哉, 明石, 久美子, 亀岡, 伸樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:症例は74歳の男性で,26年前に右尿路結石症に対してESWLを施行されていた.今回は健診で肝機能異常を指摘され,精査目的に当院を受診した.腹部CTで盲腸壁に隣接する腫瘤性病変を認め,また回結腸動静脈根部周囲にリンパ節腫大を認めた.大腸内視鏡検査では盲腸粘膜に異常は認めなかった.確定診断および治療目的に領域リンパ節郭清を伴う腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.術中所見では精巣動静脈への浸潤が疑われたため,合併切除した.回盲部を切除し機能的端々吻合を行い手術を終了した.経過良好で,術後8日目に退院した.肉眼所見は25×20mm大の嚢胞構造で,内部に暗赤色の血液が充満した腫瘤であった.病理学的所見では精巣動脈壁の3層構造の破綻を認め,仮性動脈瘤と診断された.リンパ節転移が疑われた病変は神経鞘腫の診断であった.ESWLが原因と考えられた仮性動脈瘤の報告は少なく,考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1679