神経線維腫症第2型における人工内耳と聴性脳幹インプラント治療の比較

神経線維腫症第2型 (neurofibromatosis type 2; 以下NF2と略す) の両側高度難聴の治療として、聴性脳幹インプラント (auditory brainstem implant; 以下ABIと略す) が適応と考えられていたが、最近、人工内耳も有効であるという報告が散見される。そこで、高度難聴のNF2症例に対して人工内耳埋め込みを行った2例と、当科でABI埋め込みを行った7例の聴取成績の比較を行ったので報告する。 当科で行ったABI埋め込み7例中、ABIのみによる語音聴取成績は、CI-2004の文章を用いた検査で、最高でも31%であり、人工内耳埋め込み2例の聴取成績に及ばな...

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Published inOtology Japan Vol. 21; no. 3; pp. 244 - 249
Main Authors 大多和, 優里, 加藤, 央, 熊川, 孝三, 武田, 英彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 2011
日本耳科学会
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ISSN0917-2025
1884-1457
DOI10.11289/otoljpn.21.244

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Summary:神経線維腫症第2型 (neurofibromatosis type 2; 以下NF2と略す) の両側高度難聴の治療として、聴性脳幹インプラント (auditory brainstem implant; 以下ABIと略す) が適応と考えられていたが、最近、人工内耳も有効であるという報告が散見される。そこで、高度難聴のNF2症例に対して人工内耳埋め込みを行った2例と、当科でABI埋め込みを行った7例の聴取成績の比較を行ったので報告する。 当科で行ったABI埋め込み7例中、ABIのみによる語音聴取成績は、CI-2004の文章を用いた検査で、最高でも31%であり、人工内耳埋め込み2例の聴取成績に及ばなかった。 ABIの前段階として、聴神経が解剖学的に保存され、針電極によるプロモントリーテストが陽性であり、腫瘍の圧迫症状が許される程度であるならば、先ずは人工内耳を先行し、より良好な聴取成績を追求すべきと考える。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.21.244