Azan染色におけるマイクロウェーブを用いた時間短縮法の検討
背景・目的:膠原線維の確認を目的とするアザン・マロリー(azan-Mallory; azan)染色は現在,劇物を含む媒染剤を用いる従来法Iと用いない従来法IIの2通りがある。両者とも1時間以上の染色時間を要す点は共通の問題でもある。我々は,時間短縮を目的として,媒染剤を用いない従来法IIに対してマイクロウェーブ(microwave; MW)による染色効果を検討したので報告する。方法:電子レンジ(出力700 W)を用いて,各染色液におけるMWの照射時間と染色時間の検討を行い,従来法IおよびIIとの染色結果を比較した。結果:アゾカルミンGはMW 10秒照射後5分静置(30秒毎に振盪),リンタングス...
Saved in:
Published in | 医学検査 Vol. 69; no. 3; pp. 307 - 316 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.07.2020
日本臨床衛生検査技師会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-8669 2188-5346 |
DOI | 10.14932/jamt.19-113 |
Cover
Summary: | 背景・目的:膠原線維の確認を目的とするアザン・マロリー(azan-Mallory; azan)染色は現在,劇物を含む媒染剤を用いる従来法Iと用いない従来法IIの2通りがある。両者とも1時間以上の染色時間を要す点は共通の問題でもある。我々は,時間短縮を目的として,媒染剤を用いない従来法IIに対してマイクロウェーブ(microwave; MW)による染色効果を検討したので報告する。方法:電子レンジ(出力700 W)を用いて,各染色液におけるMWの照射時間と染色時間の検討を行い,従来法IおよびIIとの染色結果を比較した。結果:アゾカルミンGはMW 10秒照射後5分静置(30秒毎に振盪),リンタングステン酸はMW 10秒照射のみ,アニリン青・オレンジGはMW 10秒照射後,肝臓は7分,腎臓は3分静置で,従来法IおよびIIと同等で良好な染色結果を得ることができた。考察:通常1時間以上かかるazan染色を約10分に短縮することができた。これは,現在報告されているazan染色法の中では最短時間である。MWを用いることで,組織への分子移動の亢進と分子移動による摩擦熱の発生による加温効果が得られたためと考えられる。また,この時間短縮法は従来法と同等に病理診断に有用な染色結果を得ることができるため,臨床の現場において推奨できる方法と考える。 |
---|---|
ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.19-113 |