成人成長ホルモン分泌不全症に関する医療者教育と総合診療科における実践

成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)は下垂体前葉機能低下症の中で成長ホルモン(GH)不足により様々な代謝異常をきたす疾患である。治療にはGH製剤の自己注射を要することから, 患者の予後改善にはAGHDの早期診断・治療とともに多職種連携や患者教育が重要である。本研究では, AGHD診療における多職種での医療連携や専門医の育成を目的とし, AGHDに関する講義や専攻医に対する AGHD 患者のマネジメント指導において,その教育効果を検討した。まず多職種へのAGHD教育実践と効果の検討として,医師・看護師・検査技師・医薬情報担当者・医学生・看護学生・医療技術専門学生(作業療法学科・理学療法学科)に...

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Published in日本病院総合診療医学会雑誌 Vol. 20; no. 1; pp. 7 - 17
Main Authors 越智, 可奈子, 徳増, 一樹, 中野, 靖浩, 須山, 敦仁, 副島, 佳晃, 大塚, 勇輝, 安田, 美帆, 小比賀, 美香子, 大塚, 文男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.01.2024
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Summary:成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)は下垂体前葉機能低下症の中で成長ホルモン(GH)不足により様々な代謝異常をきたす疾患である。治療にはGH製剤の自己注射を要することから, 患者の予後改善にはAGHDの早期診断・治療とともに多職種連携や患者教育が重要である。本研究では, AGHD診療における多職種での医療連携や専門医の育成を目的とし, AGHDに関する講義や専攻医に対する AGHD 患者のマネジメント指導において,その教育効果を検討した。まず多職種へのAGHD教育実践と効果の検討として,医師・看護師・検査技師・医薬情報担当者・医学生・看護学生・医療技術専門学生(作業療法学科・理学療法学科)に対してAGHDに関する講義を行い, 講義前後でAGHDの理解度を評価する目的でアンケートを実施した。アンケート内容を①基礎的事項, ②合併症に関する事項, ③診断に関する事項, ④治療・ マネジメントに関する事項の4分野に分類して検討したところ,全職種において講義後の正答率が上昇し, 各職種の正答率上昇率は分野ごとに違いを認めた。次に, 内科専攻医に対してのAGHD診療の実践教育を内科専攻医 4名に対して行い, AGHDの新規患者における診断・治療・GH自己注射指導およびマネジメント教育を実施し評価を行った。GH自己注射指導に関しては, 自己注射練習用器材を用いて実践的トレーニングを行ったところ, 全専攻医において診療能の向上を認めた。AGHD患者の診断やGH自己注射を含めた治療継続においては多職種連携や専門医育成などの医療者教育が非常に重要である。診療においては総合診療科における全人的・総合的診療の一環としての教育実践により, 医療者のAGHD診療に対する理解が向上しており教育効果が示された。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.20.1_7