塞栓症にて発症した上行大動脈内に浮遊する異常構造物に対する一手術治験例
症例は74歳男性,右目の上方視野欠損を認めた翌日に当院を受診し,網膜動脈分枝閉塞症と診断された.精査にて上行大動脈内に浮遊する26×6 mm大の異常構造物を認め,それを起源とした塞栓症と考えられたため,緊急手術が施行された.浮遊構造物の除去と上行置換術を施行し,術中術後経過は良好であり,術後19日目に独歩退院した.術中所見では上行大動脈に多数の石灰化と,狭基性の付着部位を持つ細長い可動性を有した構造物を認めた.病理学的には石灰化を主核とした膜様構造物であり,網膜動脈分枝閉塞症の塞栓源として妥当であった.上行大動脈壁に付着する浮遊物で,可動性部分が2 cmを超える大きさのものを経験することは稀で...
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Published in | 心臓 Vol. 50; no. 9; pp. 1047 - 1052 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.09.2018
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.50.1047 |
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Summary: | 症例は74歳男性,右目の上方視野欠損を認めた翌日に当院を受診し,網膜動脈分枝閉塞症と診断された.精査にて上行大動脈内に浮遊する26×6 mm大の異常構造物を認め,それを起源とした塞栓症と考えられたため,緊急手術が施行された.浮遊構造物の除去と上行置換術を施行し,術中術後経過は良好であり,術後19日目に独歩退院した.術中所見では上行大動脈に多数の石灰化と,狭基性の付着部位を持つ細長い可動性を有した構造物を認めた.病理学的には石灰化を主核とした膜様構造物であり,網膜動脈分枝閉塞症の塞栓源として妥当であった.上行大動脈壁に付着する浮遊物で,可動性部分が2 cmを超える大きさのものを経験することは稀であり,報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.50.1047 |