経皮的冠動脈形成術後におけるヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白測定の有用性

ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(heart type fatty acid-binding protein; H-FABP)は心筋トロポニンやクレアチンキナーゼMBアイソザイム(creatinekinase-MB; CK-MB)と比べ早期にピークアウトする変動の速さが報告されており,今回この特徴を用い冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)後のバイオマーカー検査としての有用性を検討した。対象はPCIを行った緊急58例,待機448例とした。緊急PCI症例ではPCI直後から4時間毎に,待機PCI症例ではPCI直後・6時間後・翌朝にクレア...

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Published in医学検査 Vol. 68; no. 4; pp. 717 - 723
Main Authors 黄江, 泰晴, 有高, 進悟, 梶岡, 宜子, 中川, 小百合, 平田, 喜裕, 鶴﨑, 辰也, 玉木, 俊治, 大原, 美奈子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.10.2019
日本臨床衛生検査技師会
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Summary:ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(heart type fatty acid-binding protein; H-FABP)は心筋トロポニンやクレアチンキナーゼMBアイソザイム(creatinekinase-MB; CK-MB)と比べ早期にピークアウトする変動の速さが報告されており,今回この特徴を用い冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)後のバイオマーカー検査としての有用性を検討した。対象はPCIを行った緊急58例,待機448例とした。緊急PCI症例ではPCI直後から4時間毎に,待機PCI症例ではPCI直後・6時間後・翌朝にクレアチンキナーゼ(creatinekinase; CK),CK-MB,H-FABPを測定した。待機PCI症例においてCKやCK-MBはPCI直後・6時間後・翌朝と有意に上昇を続け残存狭窄の評価が困難であった。一方,H-FABPではPCI後残存狭窄無し群で6時間後から翌朝にかけ有意に低下したが,PCI後残存狭窄有り群では有意な低下は見られなかった。緊急PCI症例ではH-FABPは早期にピークアウトする変動の速さを示した。一方,早期にピークアウトせず増加率が高い症例では緊急性の高い狭窄が見つかった。H-FABPはその増加率や上昇持続時間から残存狭窄や再狭窄を早期に検出できるバイオマーカーであると考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-118