災害時初期行動の統制を目指した病院薬剤部部署別アクションカードの有用性

• Published in: 医療薬学 Vol. 43; no. 10; pp. 585 - 591
• Main Authors: 八木, 啓太, 篠原, 克典, 近藤, 正巳
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人日本医療薬学会 10.10.2017; 日本医療薬学会
• Subjects: pharmacists; tabletop disaster training; the action cards; to control the incident responses; to grasp the damage situation
• ISSN: 1346-342X; 1882-1499
• DOI: 10.5649/jjphcs.43.585

「緒言」災害時における薬剤師の役割は医薬品の在庫管理や, 調剤, 代替薬の処方提案, 衛生環境の管理など多岐にわたっている. 先の東日本大震災において, 薬剤師の職能を必要とされたことからも, 災害医療に薬剤師が介入することは有用だと考える(鍵山智樹, 篠原克典, 岸野亨, 東日本大震災避難施設における薬剤師活動報告 -気仙沼市総合体育館での医療支援活動-, 薬学図書館, 2011, 56, 316-319). また, 震災初期に被災地の薬剤部が医薬品の管理, 確保, 提供に難渋していたことからも, 災害拠点病院にかかわらず, 災害時に対応できる薬剤部の体制を平時より整備しておく必要がある. 当院の災害マニュアルには, 災害発生時, 部署ごとに被害状況を確認し, 所定の被害状況報告書に記載のうえ, 災害対策本部に報告することが規定されている. しかしながら, 当院薬剤部では, 全病棟に薬剤師を配置しており, 部員の半数以上が薬剤部外での業務を行っているため, 災害時に各部署の薬剤師の安否と被害状況を把握することは困難であると考えられた.