脳動脈瘤様拡張部のみの姑息的塞栓術で急性期に治療し良好な長期成績を得た破裂前下小脳動脈近位部動脈瘤の1 例
【目的】発生頻度が稀な前下小脳動脈(anterior inferior cerebellar artery: AICA)近位部の破裂動脈瘤に対して,AICAを温存した姑息的塞栓術を行い良好な長期成績を得た1 例を報告する.【症例】61 歳,女性,Hunt and Kosnik Grade III,WFNS Grade II のくも膜下出血で,AICA 近位部に動脈瘤を認めた.動脈瘤近位に高度狭窄を伴い,単純な動脈硬化性変化の合併のほか,解離性動脈瘤の可能性も示唆された.このため,治療方針の決定には逡巡したが,急性期治療の技術的限界もありAICA を温存した姑息的塞栓術を行った.再破裂の可能性は...
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Published in | Journal of Neuroendovascular Therapy Vol. 8; no. 1; pp. 32 - 39 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
2014
日本脳神経血管内治療学会 |
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ISSN | 1882-4072 2186-2494 |
DOI | 10.5797/jnet.cr.13037 |
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Summary: | 【目的】発生頻度が稀な前下小脳動脈(anterior inferior cerebellar artery: AICA)近位部の破裂動脈瘤に対して,AICAを温存した姑息的塞栓術を行い良好な長期成績を得た1 例を報告する.【症例】61 歳,女性,Hunt and Kosnik Grade III,WFNS Grade II のくも膜下出血で,AICA 近位部に動脈瘤を認めた.動脈瘤近位に高度狭窄を伴い,単純な動脈硬化性変化の合併のほか,解離性動脈瘤の可能性も示唆された.このため,治療方針の決定には逡巡したが,急性期治療の技術的限界もありAICA を温存した姑息的塞栓術を行った.再破裂の可能性は完全には消失していないと考え,厳重な経過観察を行ったが再破裂なく良好に経過した.病変部は側副血行の発達により無症候性に閉塞し,術後4 年6 カ月経過したが良好な長期結果を得ている.【結語】AICA 動脈瘤は外科的アプローチが困難な部位の一つであるが,瘤内塞栓が困難な紡錘状動脈瘤や解離性動脈瘤の報告も多く,血管内治療でも根治困難な場合がある.本症例では,破裂急性期に破裂部位のみの姑息的治療を行い,結果的には無症候性に母血管閉塞の形となり良好な治療結果を得ることができた. |
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ISSN: | 1882-4072 2186-2494 |
DOI: | 10.5797/jnet.cr.13037 |