ドキシフルリジンと健康食品リンパザイム®の併用で完全房室ブロックをきたした1例

症例は61歳, 女性. 2006年に左乳癌を指摘され, 左乳房部分摘除術を施行された. 手術後の化学療法としてドキシフルリジンを内服投与されていたが, 汎血球減少のため2007年に中止された. ドキシフルリジン中止後, 自己判断で健康食品としてリンパザイム®を服用していた. その後, 血球数が回復したため, 2009年5月下旬よりドキシフルリジンが再開されたが, この際リンパザイム®の服用も継続していた. 同年7月上旬に動悸, 胸部重苦感を自覚したため翌日に当科外来を受診した. 心電図にて完全房室ブロックを認めたため, 体外式ペーシングを施行し当科入院とした. 入院時諸検査より, 2次性の完全...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 8; pp. 1096 - 1101
Main Authors 下岡, 良典, 木島, 基, 本田, 肇, 早川, 拓治, 鈴木, 孝英, 松田, 夏菜子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.1096

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Summary:症例は61歳, 女性. 2006年に左乳癌を指摘され, 左乳房部分摘除術を施行された. 手術後の化学療法としてドキシフルリジンを内服投与されていたが, 汎血球減少のため2007年に中止された. ドキシフルリジン中止後, 自己判断で健康食品としてリンパザイム®を服用していた. その後, 血球数が回復したため, 2009年5月下旬よりドキシフルリジンが再開されたが, この際リンパザイム®の服用も継続していた. 同年7月上旬に動悸, 胸部重苦感を自覚したため翌日に当科外来を受診した. 心電図にて完全房室ブロックを認めたため, 体外式ペーシングを施行し当科入院とした. 入院時諸検査より, 2次性の完全房室ブロックは否定的と判断したが, 薬剤性については完全には否定できず, 入院時にすべての内服を中止した. 入院後も接合部調律が持続しており, 非可逆性の完全房室ブロックと判断し, 入院後第4病日目にペースメーカー植え込みを行った. ところが, 手術後第3病日目より, 正常房室伝導を認めるようになり, 完全房室ブロックは可逆性であったことが判明した. 以上の経過より, ドキシフルリジンとリンパザイム®の併用による薬剤性の完全房室ブロックと診断した. 抗悪性腫瘍薬と健康食品の併用で完全房室ブロックを呈した例は稀であるため, 今回報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.1096