心嚢液セルブロックの作製により診断し得た原発性滲出液リンパ腫様リンパ腫の1例

症例は65歳の男性.食欲不振と両下腿浮腫を主訴に前医を受診した.精査加療目的で当院消化器内科を受診し,腹部超音波検査で心嚢液の貯留を指摘されたため,循環器内科を紹介受診した.心臓超音波検査で全周性に多量の心嚢液貯留を認めたため,心嚢穿刺を施行した.細胞診パパニコロウ染色標本で少数の異型細胞を認めたものの診断に至らず,心嚢液セルブロック標本を作製した.免疫染色ではCD20およびCD79a陽性,HHV8陰性であり,原発性滲出液リンパ腫様リンパ腫と診断し,化学療法を開始した.治療後は心嚢液の再貯留を認めず経過良好である.今回,原因不明の心嚢液貯留に対して心嚢液細胞診塗抹標本では診断を確定することがで...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 9; pp. 1074 - 1081
Main Authors 中矢, 雄一郎, 東, 晴彦, 井上, 勝次, 石村, 泰裕, 川上, 大志, 永井, 啓行, 西村, 和久, 池田, 俊太郎, 北澤, 理子, 波呂, 卓, 竹中, 克斗, 山口, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は65歳の男性.食欲不振と両下腿浮腫を主訴に前医を受診した.精査加療目的で当院消化器内科を受診し,腹部超音波検査で心嚢液の貯留を指摘されたため,循環器内科を紹介受診した.心臓超音波検査で全周性に多量の心嚢液貯留を認めたため,心嚢穿刺を施行した.細胞診パパニコロウ染色標本で少数の異型細胞を認めたものの診断に至らず,心嚢液セルブロック標本を作製した.免疫染色ではCD20およびCD79a陽性,HHV8陰性であり,原発性滲出液リンパ腫様リンパ腫と診断し,化学療法を開始した.治療後は心嚢液の再貯留を認めず経過良好である.今回,原因不明の心嚢液貯留に対して心嚢液細胞診塗抹標本では診断を確定することができなかったが,セルブロックを作製することで原発性滲出液リンパ腫様リンパ腫と診断し得た貴重な1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.1074