臓器保存の社会的インパクト—労働基準法の働き方改革と臓器保存
いわゆる働き方改革に伴う改正労働基準法が2019年から施行された. 2024年には医師の法定時間外労働の上限が明確化され, その上限が適用される. 現行の規制の中で最も緩い条件を使い, 腎, 膵移植をモデルに, 勤務時間内移植の可能性をシミュレーションした. 多くの場合, 臓器保存技術による保存時間の延長が必須であった. 現行の24時間を限度とする単純冷却保存でも, 確実に実施できれば勤務時間内移植が可能な場合があり, 30時間保存が可能になるとその範囲が倍加し, 3日間保存が可能になると殆ど総ての場合に勤務時間内移植が可能であった. 勤務時間内移植を達成するためには是非とも保存時間を延長する...
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Published in | Organ Biology Vol. 28; no. 1; pp. 43 - 51 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臓器保存生物医学会
2021
日本臓器保存生物医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1340-5152 2188-0204 |
DOI | 10.11378/organbio.28.43 |
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Summary: | いわゆる働き方改革に伴う改正労働基準法が2019年から施行された. 2024年には医師の法定時間外労働の上限が明確化され, その上限が適用される. 現行の規制の中で最も緩い条件を使い, 腎, 膵移植をモデルに, 勤務時間内移植の可能性をシミュレーションした. 多くの場合, 臓器保存技術による保存時間の延長が必須であった. 現行の24時間を限度とする単純冷却保存でも, 確実に実施できれば勤務時間内移植が可能な場合があり, 30時間保存が可能になるとその範囲が倍加し, 3日間保存が可能になると殆ど総ての場合に勤務時間内移植が可能であった. 勤務時間内移植を達成するためには是非とも保存時間を延長する必要があると考えられた. |
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ISSN: | 1340-5152 2188-0204 |
DOI: | 10.11378/organbio.28.43 |