GPUによるモンテカルロ法を用いた生体組織光伝播シミュレーション

モンテカルロシミュレーションとは乱数を用いた確率的手法で,生体組織内の光伝播の計算に用いられており,光拡散方程式の解法の標準手法として確立されている.しかしこの手法には計算時間が長いという欠点がある.一方,GPGPU(GPUによる汎用計算)はGPUを画像処理以外に応用する技術であり,計算資源にGPUを用いて実行時間の短縮をする.そこで本研究はGPUを用いた生体組織における光伝播シミュレーションを開発し,実行速度を向上させることを目的とする.本研究においてGPUを用いたMCML(Monte Carlo for multi-layered media)を実装し,鏡面反射率,拡散反射率,吸収率,透過...

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Published inTransactions of Japanese Society for Medical and Biological Engineering Vol. Annual56; no. Abstract; p. S58
Main Authors 鷲尾, 利克, 黒田, 輝, 鈴木, 志歩, 松前, 光紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本生体医工学会 2018
Japanese Society for Medical and Biological Engineering
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ISSN1347-443X
1881-4379
DOI10.11239/jsmbe.Annual56.S58

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Summary:モンテカルロシミュレーションとは乱数を用いた確率的手法で,生体組織内の光伝播の計算に用いられており,光拡散方程式の解法の標準手法として確立されている.しかしこの手法には計算時間が長いという欠点がある.一方,GPGPU(GPUによる汎用計算)はGPUを画像処理以外に応用する技術であり,計算資源にGPUを用いて実行時間の短縮をする.そこで本研究はGPUを用いた生体組織における光伝播シミュレーションを開発し,実行速度を向上させることを目的とする.本研究においてGPUを用いたMCML(Monte Carlo for multi-layered media)を実装し,鏡面反射率,拡散反射率,吸収率,透過率を計算し,実行時間を測定した.またOregon Medical Laser CenterのMCMLを用いて,計算結果と実行時間の比較を行った.計算条件は脳組織(白質)に対して波長980nmレーザ照射時のYaroslavskyらの文献値を用いて,実行回数は10回,実行1回の計算光子数は100万個とした.実行環境にはCPU(Intel(R)Core(TM)i7-6700),GPU(GeForceGTX980Ti),メモリ32GBを用いた.算出結果の比較として,平均値(標準偏差)を示す.本研究にて実装したGPMCMLでは拡散反射率0.42749(0.00036),吸収率0.54659(0.00036),透過率0.00172(0.00001)になった.またOMCLの平均値は,拡散反射率0.42711,吸収率0.54679,透過率0.00173となり,算出結果の同等性が示せた.実行時間の比較よりGP-MCMLでは約129倍速く実行可能であることを報告する.
ISSN:1347-443X
1881-4379
DOI:10.11239/jsmbe.Annual56.S58