冠動脈CTを用いた内径マッピングおよびCT-SPECT fusion画像が有用であった冠動脈バイパスの1例

症例は71歳女性.3カ月前から前胸部違和感を自覚した.精査にて冠動脈3枝病変を指摘され,当科紹介となった.既往は糖尿病(インスリン使用),脂質異常症,高血圧,脳梗塞.冠動脈造影にて左主幹部病変を含む3枝病変を認めた.びまん性狭窄を認め,吻合に適した血管径を有する部位が少ないと思われたため,他のモダリティでの評価を追加した.冠動脈CTにより冠動脈径を測定し,狭小部位にマーキングを行った.他に冠動脈CTおよび薬剤負荷心筋シンチの画像を組み合わせたCT-SPECT fusion画像を作成し,虚血部位と冠動脈の位置関係を明らかにした.その結果,回旋枝は1.5 mm以下の血管径の部位が多く,吻合に不適と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 50; no. 3; pp. 287 - 291
Main Authors 泉, 聡, 脇山, 英丘, 大保, 英文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.03.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.50.287

Cover

More Information
Summary:症例は71歳女性.3カ月前から前胸部違和感を自覚した.精査にて冠動脈3枝病変を指摘され,当科紹介となった.既往は糖尿病(インスリン使用),脂質異常症,高血圧,脳梗塞.冠動脈造影にて左主幹部病変を含む3枝病変を認めた.びまん性狭窄を認め,吻合に適した血管径を有する部位が少ないと思われたため,他のモダリティでの評価を追加した.冠動脈CTにより冠動脈径を測定し,狭小部位にマーキングを行った.他に冠動脈CTおよび薬剤負荷心筋シンチの画像を組み合わせたCT-SPECT fusion画像を作成し,虚血部位と冠動脈の位置関係を明らかにした.その結果,回旋枝は1.5 mm以下の血管径の部位が多く,吻合に不適とされ,虚血範囲や支配領域も小さいため,回旋枝を省略し,前下行枝,対角枝,右冠動脈へのバイパスを行った.回旋枝領域に小範囲の残存虚血を認めたが,術後CTでグラフト開存が確認され,心機能も維持されていた.術後45日にリハビリ転院した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.287