手術により診断した肺多発結節を呈した侵襲性肺アスペルギルス症の1例

背景:肺アスペルギルス症は宿主の免疫状態と肺構造との相互関係により様々な病態と画像所見を呈し,併存疾患により全身状態不良であることが多く,慎重に手術適応を決める必要がある.今回,手術により診断した肺多発結節を呈した侵襲性肺アスペルギルス症の1例を経験したので報告する.症例:67歳,女性.びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫に対し,自家末梢血幹細胞移植を施行された.移植4日目に左肺下葉S8に空洞を伴う浸潤影が出現し,移植15日目に多発肺結節も出現した.気管支鏡検査でS8病変からアスペルギルスを検出した.多発肺結節は針生検を行ったが,確定診断には至らなかった.抗真菌薬を投与したが,左肺S8病変は肺膿瘍...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 8; pp. 1199 - 1204
Main Authors 髙山, 哲也, 松本, 勲, 髙山, 恭滉, 齋藤, 大輔, 田中, 伸廣, 吉田, 周平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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Summary:背景:肺アスペルギルス症は宿主の免疫状態と肺構造との相互関係により様々な病態と画像所見を呈し,併存疾患により全身状態不良であることが多く,慎重に手術適応を決める必要がある.今回,手術により診断した肺多発結節を呈した侵襲性肺アスペルギルス症の1例を経験したので報告する.症例:67歳,女性.びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫に対し,自家末梢血幹細胞移植を施行された.移植4日目に左肺下葉S8に空洞を伴う浸潤影が出現し,移植15日目に多発肺結節も出現した.気管支鏡検査でS8病変からアスペルギルスを検出した.多発肺結節は針生検を行ったが,確定診断には至らなかった.抗真菌薬を投与したが,左肺S8病変は肺膿瘍状となり,診断治療目的に左肺下葉切除+上葉部分切除を行った.病理でS8以外の病変にもアスペルギルスを認め,侵襲性肺アスペルギルス症と診断した.術後1年10カ月経過し,抗真菌薬内服中であるが病状の増悪なく生存中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1199