QT延長症候群にカテコラミン心筋症を合併しTorsades de Pointesが誘発された1例

52歳女性.高血圧とQT延長を指摘され前医でフォローされていた.2016年8月に動悸症状を訴え前医受診し,その際の心電図検査でTorsades de Pointes(以下TdP)の所見を認めたため,当院に紹介された.救急外来での診察中にTdPから心室細動となり,マグネシウム投与・除細動を行い洞調律化した.初診時の心エコーでは壁運動異常を認めなかったが,翌日施行した冠動脈造影検査で冠動脈に有意狭窄なく,左室造影では前壁の壁運動低下を認めた.心電図所見としては前胸部誘導でT波の陰性転化やQT時間の変化を認めた.QT延長がベースにある患者が,カテコラミン心筋症と思われる心筋障害を合併しTdPが誘発さ...

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Published in心臓 Vol. 50; no. 6; pp. 648 - 653
Main Authors 中尾, 仁彦, 中島, 永美子, 大崎, 聡太郎, 三澤, 透, 古浦, 賢二, 大西, 健太郎, 石丸, 剛, 岡田, 寛之, 稲垣, 裕, 土信田, 伸夫, 高元, 俊彦, 磯部, 光章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.06.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:52歳女性.高血圧とQT延長を指摘され前医でフォローされていた.2016年8月に動悸症状を訴え前医受診し,その際の心電図検査でTorsades de Pointes(以下TdP)の所見を認めたため,当院に紹介された.救急外来での診察中にTdPから心室細動となり,マグネシウム投与・除細動を行い洞調律化した.初診時の心エコーでは壁運動異常を認めなかったが,翌日施行した冠動脈造影検査で冠動脈に有意狭窄なく,左室造影では前壁の壁運動低下を認めた.心電図所見としては前胸部誘導でT波の陰性転化やQT時間の変化を認めた.QT延長がベースにある患者が,カテコラミン心筋症と思われる心筋障害を合併しTdPが誘発された示唆に富む症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.648