喉頭摘出者における音声収録アプリを用いた術前音声の保存 —Save the Voiceプロジェクト

「1. はじめに」音声言語は感情表現やコミュニケーションに重要な要素であり, 人間が社会生活を送るために, 必要不可欠な機能である. 喉頭摘出術は声帯を含め喉頭を摘出する手術方法であり, 頭頸部癌の治療において重要な治療選択肢である. 近年, シスプラチン併用放射線化学療法などの非外科的治療の進歩は目覚ましいが, 喉頭摘出術は, 放射線治療抵抗性腫瘍や, 再発腫瘍に対して重要な選択肢であり, その意義は大きい. また, 喉頭摘出術や声門閉鎖術は, 唾液の慢性誤嚥を防ぐことができ, 神経筋変性疾患や脳血管障害の患者における誤嚥防止術としても大きな役割を果たしている. その一方で, 喉頭摘出術を受...

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Published in喉頭 Vol. 35; no. 2; pp. 142 - 147
Main Authors 西尾, 直樹, 戸田, 智基, 小林, 和弘, 三谷, 壮平, 飴矢, 美里, 向山, 宣昭, 木村, 宏之, 徳倉, 達也, 坪井, 崇, 藤本, 保志, 曾根, 三千彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本喉頭科学会 01.12.2023
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Summary:「1. はじめに」音声言語は感情表現やコミュニケーションに重要な要素であり, 人間が社会生活を送るために, 必要不可欠な機能である. 喉頭摘出術は声帯を含め喉頭を摘出する手術方法であり, 頭頸部癌の治療において重要な治療選択肢である. 近年, シスプラチン併用放射線化学療法などの非外科的治療の進歩は目覚ましいが, 喉頭摘出術は, 放射線治療抵抗性腫瘍や, 再発腫瘍に対して重要な選択肢であり, その意義は大きい. また, 喉頭摘出術や声門閉鎖術は, 唾液の慢性誤嚥を防ぐことができ, 神経筋変性疾患や脳血管障害の患者における誤嚥防止術としても大きな役割を果たしている. その一方で, 喉頭摘出術を受けた患者は, 手術後に永久気管孔となり, 声を失うこととなるため, 生活の質(quality of life;QOL)が著しく低下することが課題である.
ISSN:0915-6127
2185-4696
DOI:10.5426/larynx.35.142