僧帽弁形成術後の残存心外膜リードの肝迷入に対し腹腔鏡下に抜去し得た1例

症例は73歳女性.僧帽弁逆流症,三尖弁逆流症,慢性心房細動に対して僧帽弁形成術,三尖弁輪縫縮術,Maze手術が行われた.右室前面および右房に心外膜リードが装着された.退院前に心外膜リードの抜去を試みたが抵抗が強く両者とも皮膚の部位で切断した.術後17日で退院となったが2カ月後に結腸憩室炎で入院となった.その際のCTで偶然に残存右室心外膜リードが横隔膜を貫き肝外側区域に迷入していることが判明した.保存的加療後に軽快退院したが,その後のCTでリードがさらに深く肝に迷入していた.開心術後5カ月目に腹腔鏡下に肝に迷入しているリードを確認し全抜去した.術後2日目に軽快退院した.切断されたリード先端が心拍...

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Published in心臓 Vol. 55; no. 3; pp. 289 - 294
Main Authors 圓尾, 文子, 加藤, 大樹, 坂本, 敏仁, 金田, 邦彦, 中井, 秀和, 高橋, 亮太, 大保, 英文, 横山, 邦雄, 脇山, 英丘, 田中, 陽介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.03.2023
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.55.289

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Summary:症例は73歳女性.僧帽弁逆流症,三尖弁逆流症,慢性心房細動に対して僧帽弁形成術,三尖弁輪縫縮術,Maze手術が行われた.右室前面および右房に心外膜リードが装着された.退院前に心外膜リードの抜去を試みたが抵抗が強く両者とも皮膚の部位で切断した.術後17日で退院となったが2カ月後に結腸憩室炎で入院となった.その際のCTで偶然に残存右室心外膜リードが横隔膜を貫き肝外側区域に迷入していることが判明した.保存的加療後に軽快退院したが,その後のCTでリードがさらに深く肝に迷入していた.開心術後5カ月目に腹腔鏡下に肝に迷入しているリードを確認し全抜去した.術後2日目に軽快退院した.切断されたリード先端が心拍動や呼吸運動により横隔膜を穿通し肝迷入に至ったと推察された.開心術後の残存心外膜リードは近接臓器への迷入の可能性があり注意深い経過観察が必要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.55.289