保健所政令市および特別区における1歳6か月児歯科健康診査の実施方法とO2型判定結果の検討

本研究の目的は,保健所政令市および特別区における1歳6か月児歯科健康診査実施方法の現状とO2型判定結果との関連を検討することである. 調査対象は全国の保健所政令市および特別区の94市区であり,1歳6か月児歯科健康診査の実施方法を郵送法による質問紙調査で2015年11月20日から12月28日の期間に調査し,68市区から回答を得た(回答率72.3%).また,う蝕罹患型O2型割合は,厚生労働省から発表された資料から算定した. その結果,健診の実施方法は,保健センター方式が66市区(97.1%)と大部分で,そのうち,医科健診との合同実施は43市区(63.2%),歯科単独方式が21市区(30.9%)であ...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 67; no. 4; pp. 292 - 297
Main Authors 小野, 幸絵, 小松﨑, 明, 田中, 聖至, 小松﨑, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2017
日本口腔衛生学会
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Summary:本研究の目的は,保健所政令市および特別区における1歳6か月児歯科健康診査実施方法の現状とO2型判定結果との関連を検討することである. 調査対象は全国の保健所政令市および特別区の94市区であり,1歳6か月児歯科健康診査の実施方法を郵送法による質問紙調査で2015年11月20日から12月28日の期間に調査し,68市区から回答を得た(回答率72.3%).また,う蝕罹患型O2型割合は,厚生労働省から発表された資料から算定した. その結果,健診の実施方法は,保健センター方式が66市区(97.1%)と大部分で,そのうち,医科健診との合同実施は43市区(63.2%),歯科単独方式が21市区(30.9%)であった. 罹患型O2型の判定方法に関しては,問診でハイリスク判定が1項目でもあればO2型としている市区は23市区(33.8%),歯垢付着と問診項目とを総合的に判断しているとの回答は19市区(27.9%)であった.O2型割合は,最小1.1%~最大95.8%と市区間で大きな差が認められた. O2型割合とう蝕経験状況,1歳6か月児歯科健康診査受診率との間で相関分析を実施したが,O2型割合とう蝕経験状況との間に相関は認められなかった. O2型割合と健診実施方法,O2型の判定方法との関連を検討した結果,関連が認められたのは,健診実施の方法(p < 0.01)とO2型の判定方法(p <0.05)の2項目であった. 妊婦歯科健康診査を実施していた市区は56市区(82.4%)で,1歳6か月児と3歳児以外の年齢の幼児に,歯科健康診査を実施していた市区は51市区(75.0%)であった. これらの結果から,O2型の判定方法は市区により大きな差が認められ,その差は健診の実施方法やO2型の判定基準と関連していることが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.67.4_292