繰り返す貧血でHeyde症候群が疑われ経カテーテル大動脈弁置換術が貧血改善に寄与した1例
症例は73歳女性.無症候性重症大動脈弁狭窄症(AS)のために通院中であった.貧血の精査として上下部消化管内視鏡検査とカプセル内視鏡検査を施行したところ,十二指腸・空腸毛細血管拡張症の診断となりアルゴンプラズマ凝固療法を施行した.今回呼吸困難を主訴に救急搬送され,うっ血性心不全の診断で入院となった.重症のASを起因としたうっ血性心不全は,硝酸イソソルビドの持続静注とフロセミドの静注によって改善した.十二指腸・空腸毛細血管拡張症による貧血の増悪も併発しており,赤血球濃厚液を輸血した. ASおよび繰り返す重症貧血の経過からHeyde症候群が疑われ,von Willebrand因子(VWF)マルチマー...
Saved in:
Published in | 心臓 Vol. 55; no. 4; pp. 426 - 430 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.04.2023
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 症例は73歳女性.無症候性重症大動脈弁狭窄症(AS)のために通院中であった.貧血の精査として上下部消化管内視鏡検査とカプセル内視鏡検査を施行したところ,十二指腸・空腸毛細血管拡張症の診断となりアルゴンプラズマ凝固療法を施行した.今回呼吸困難を主訴に救急搬送され,うっ血性心不全の診断で入院となった.重症のASを起因としたうっ血性心不全は,硝酸イソソルビドの持続静注とフロセミドの静注によって改善した.十二指腸・空腸毛細血管拡張症による貧血の増悪も併発しており,赤血球濃厚液を輸血した. ASおよび繰り返す重症貧血の経過からHeyde症候群が疑われ,von Willebrand因子(VWF)マルチマー解析を施行したところ,normal patternであった.ASに対する治療として経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)を施行した.TAVR後,貧血は改善しHeyde症候群に矛盾しない臨床経過であったが,Heyde症候群であってもnormal patternを示すことがある本症例に対して文献的考察を行った. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.55.426 |