保険薬局における睡眠薬を服用する高齢者に対するアンケート調査の解析

「緒言」保険薬局を利用する高齢者に対して日常の服薬指導を行う際に, 寝つきが悪い, 寝ても途中で目が覚めるなど, 満足する睡眠が得られないと訴える患者が増えている. 高齢者は若年者と比べ睡眠障害を有する頻度が高く, 60歳以上の高齢者では3人に1人が何かしらの睡眠障害を有するとされる. これは, 高齢になると概日リズムの変化と睡眠構造の変化により, 睡眠時間の減少や睡眠効率の低下, 中途覚醒が多くなることに関連しているとされる. 高齢者の不眠治療を行うには, 睡眠環境の把握と睡眠衛生指導が重要とされ, それでも不眠が持続し日中機能の障害がみられる場合には, 睡眠薬の投与が行われる. 多様な背景...

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Published in医療薬学 Vol. 49; no. 3; pp. 111 - 122
Main Authors 竹中, 道伸, 福島, 智志, 山崎, 颯太郎, 松根, 龍一郎, 和田, 雅恵, 上田, 朋希, 黒田, 雅章, 工藤, 遥子, 櫻井, 秀彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.03.2023
日本医療薬学会
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Summary:「緒言」保険薬局を利用する高齢者に対して日常の服薬指導を行う際に, 寝つきが悪い, 寝ても途中で目が覚めるなど, 満足する睡眠が得られないと訴える患者が増えている. 高齢者は若年者と比べ睡眠障害を有する頻度が高く, 60歳以上の高齢者では3人に1人が何かしらの睡眠障害を有するとされる. これは, 高齢になると概日リズムの変化と睡眠構造の変化により, 睡眠時間の減少や睡眠効率の低下, 中途覚醒が多くなることに関連しているとされる. 高齢者の不眠治療を行うには, 睡眠環境の把握と睡眠衛生指導が重要とされ, それでも不眠が持続し日中機能の障害がみられる場合には, 睡眠薬の投与が行われる. 多様な背景や要因によって, 高齢者は年齢を重ねるとともに様々な疾患に罹患し, 処方される薬剤が増加する傾向にあるため, 高齢者は睡眠薬をかかりつけ医から処方されることが多い. 健康保険組合連合会, 保障総合政策調査・研究基金事業政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究III(エビデンスや費用対効果の視点を踏まえた外来における医薬品処方や指導管理料のあり方に関する実態調査)( https://www.kenporen.com/include/outline/pdf/chosa29_01-2.pdf, 2022年6月19日)によると, 平成26年10月~平成28年9月診療分の期間中に抗不安薬, 睡眠薬のいずれかの内服薬が1種類以上処方されたレセプト約528万件のうち65%が精神科標榜施設以外から処方されていたとする報告がある.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.49.111