多発性骨髄腫に対するポマリドミド使用中に発生した急性肺血栓塞栓症の2例

ポマリドミドは再発・難治性の多発性骨髄腫に対して使用される新規免疫調節薬の一つである.通常はデキサメタゾンとの併用,さらにもう1剤を加えた3剤併用療法が行われる.その重篤な有害事象の一つとして静脈血栓症が挙げられる.今回,多発性骨髄腫に対してポマリドミド使用中に急性肺血栓塞栓症(APTE)を発症した2例を経験した. 症例1は73歳男性,症例2は70歳男性でいずれも呼吸困難を主訴に受診し,APTEの診断に至った.治療を中止したうえで抗凝固療法を開始したが,症例2ではショックバイタルとなったため,血栓溶解療法を施行した.2症例とも加療により肺動脈内の血栓消失を確認し,自宅退院となった. ポマリドミ...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 8; pp. 933 - 940
Main Authors 河端, 哲也, 園山, 一彦, 井本, 宏治, 吉田, 雅昭, 小田, 強, 三宅, 隆明, 山口, まどか, 伊藤, 俊輔, 加藤, 孝佳, 藤田, 佳委, 若山, 聡雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.08.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.54.933

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Summary:ポマリドミドは再発・難治性の多発性骨髄腫に対して使用される新規免疫調節薬の一つである.通常はデキサメタゾンとの併用,さらにもう1剤を加えた3剤併用療法が行われる.その重篤な有害事象の一つとして静脈血栓症が挙げられる.今回,多発性骨髄腫に対してポマリドミド使用中に急性肺血栓塞栓症(APTE)を発症した2例を経験した. 症例1は73歳男性,症例2は70歳男性でいずれも呼吸困難を主訴に受診し,APTEの診断に至った.治療を中止したうえで抗凝固療法を開始したが,症例2ではショックバイタルとなったため,血栓溶解療法を施行した.2症例とも加療により肺動脈内の血栓消失を確認し,自宅退院となった. ポマリドミド使用中は抗凝固療法による血栓予防が推奨されているが,本邦では保険適応がないため,アスピリン使用の上,静脈血栓の早期発見に努める必要がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.933