ジカウイルス感染症流行地に入国する海上自衛官に対する感染症教育効果の検討

海上自衛官は日本では稀な感染症の流行地に入国するため,艦艇内で医師が教育を実施しているが,これまでに教育効果を検討した報告はない.本研究では,平成29年度海上自衛隊練習艦隊乗員のうち非医療従事者約400名総員を対象とし,教育直後・教育3カ月後にジカウイルス感染症に関する設問を用いて教育効果を年代毎に解析した.アンケート調査において教育以前から設問内容をすべて既知と回答したのは39.1%であったが,教育直後の正誤問題における全問正解率は99.5%と著明に上昇した.しかし3カ月後には全問正答率が86.9%に低下し,特に41歳以上で有意に低下した(p < 0.05).妊婦のジカウイルス感染と胎児小頭...

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Published in日本周産期・新生児医学会雑誌 Vol. 57; no. 3; pp. 470 - 475
Main Authors 大塚, 由花, 吉田, 裕輔, 高野, 政志, 黒川, 貴幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本周産期・新生児医学会 2021
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Summary:海上自衛官は日本では稀な感染症の流行地に入国するため,艦艇内で医師が教育を実施しているが,これまでに教育効果を検討した報告はない.本研究では,平成29年度海上自衛隊練習艦隊乗員のうち非医療従事者約400名総員を対象とし,教育直後・教育3カ月後にジカウイルス感染症に関する設問を用いて教育効果を年代毎に解析した.アンケート調査において教育以前から設問内容をすべて既知と回答したのは39.1%であったが,教育直後の正誤問題における全問正解率は99.5%と著明に上昇した.しかし3カ月後には全問正答率が86.9%に低下し,特に41歳以上で有意に低下した(p < 0.05).妊婦のジカウイルス感染と胎児小頭症のリスクに言及した設問は全年代において正答率が低下しなかった.感染症の教育では,年代による関心の差に留意し,教育の反復や視覚的情報の使用等が重要であることが示唆された.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.57.3_470