標準法を用いた血液像トレーニングの評価

血液形態学における細胞観察のトレーニングは,血液検査部門内でのレベルアップ及びその後の高レベル維持に必要不可欠である.しかしながら,トレーニングに必要な絶対的基準が無く,現在のところJAMT勧告法かJSLH標準法案を参考に対応しているのが現状である.両法を対比すると,好中球とリンパ球の一部に大きな差異を認める以外は,内容的に大差を認めない.今回のトレーニングでは,差を認めない部分にJAMT勧告法を用い,大きく基準が異なる好中球桿状核球と分葉核球の鑑別,正常リンパ球・異型リンパ球以外の類縁細胞の取り扱いについては,以下の理由で現在使用中の基準法を踏襲することとした.当部門では,古くから成熟好中球...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医学検査 Vol. 63; no. 5; pp. 623 - 628
Main Authors 井上, 史江, 丹羽, 欣正, 宮野, 悟, 上野, 寿行, 鈴木, 久惠, 櫻井, 香織, 秋田, 豊和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.09.2014
日本臨床衛生検査技師会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0915-8669
2188-5346
DOI10.14932/jamt.13-96

Cover

Abstract 血液形態学における細胞観察のトレーニングは,血液検査部門内でのレベルアップ及びその後の高レベル維持に必要不可欠である.しかしながら,トレーニングに必要な絶対的基準が無く,現在のところJAMT勧告法かJSLH標準法案を参考に対応しているのが現状である.両法を対比すると,好中球とリンパ球の一部に大きな差異を認める以外は,内容的に大差を認めない.今回のトレーニングでは,差を認めない部分にJAMT勧告法を用い,大きく基準が異なる好中球桿状核球と分葉核球の鑑別,正常リンパ球・異型リンパ球以外の類縁細胞の取り扱いについては,以下の理由で現在使用中の基準法を踏襲することとした.当部門では,古くから成熟好中球の鑑別にはJAMT勧告法に近い基準が,リンパ球にはJSLH標準法案に近い基準が用いられており,この両法を効率よく使用することは,最新の標準法に合わせつつ現在の基準を大きく逸脱しない使用法として推奨できる.また,問題内容のレベルを2段階に分け,出現頻度が高く日常検査上見逃しが許されない異常を必須問題,出現頻度は低いが知識として必要な異常を参考問題とし,特に前者については全員の目標値到達を目指した.同一問題の繰り返し使用については,前回との比較が容易である反面,丸覚えの危険があるので6ヶ月の空白期間を作り,その間は問題については一切触れないよう留意した.
AbstractList 「要旨」 血液形態学における細胞観察のトレーニングは, 血液検査部門内でのレベルアップ及びその後の高レベル維持に必要不可欠である. しかしながら, トレーニングに必要な絶対的基準が無く, 現在のところJAMT勧告法かJSLH標準法案を参考に対応しているのが現状である. 両法を対比すると, 好中球とリンパ球の一部に大きな差異を認める以外は, 内容的に大差を認めない. 今回のトレーニングでは, 差を認めない部分にJAMT勧告法を用い, 大きく基準が異なる好中球桿状核球と分葉核球の鑑別, 正常リンパ球・異型リンパ球以外の類縁細胞の取り扱いについては, 以下の理由で現在使用中の基準法を踏襲することとした. 当部門では, 古くから成熟好中球の鑑別にはJAMT勧告法に近い基準が, リンパ球にはJSLH標準法案に近い基準が用いられており, この両法を効率よく使用することは, 最新の標準法に合わせつつ現在の基準を大きく逸脱しない使用法として推奨できる. また, 問題内容のレベルを2段階に分け, 出現頻度が高く日常検査上見逃しが許されない異常を必須問題, 出現頻度は低いが知識として必要な異常を参考問題とし, 特に前者については全員の目標値到達を目指した. 同一問題の繰り返し使用については, 前回との比較が容易である反面, 丸覚えの危険があるので6ヶ月の空白期間を作り, その間は問題については一切触れないよう留意した.
血液形態学における細胞観察のトレーニングは,血液検査部門内でのレベルアップ及びその後の高レベル維持に必要不可欠である.しかしながら,トレーニングに必要な絶対的基準が無く,現在のところJAMT勧告法かJSLH標準法案を参考に対応しているのが現状である.両法を対比すると,好中球とリンパ球の一部に大きな差異を認める以外は,内容的に大差を認めない.今回のトレーニングでは,差を認めない部分にJAMT勧告法を用い,大きく基準が異なる好中球桿状核球と分葉核球の鑑別,正常リンパ球・異型リンパ球以外の類縁細胞の取り扱いについては,以下の理由で現在使用中の基準法を踏襲することとした.当部門では,古くから成熟好中球の鑑別にはJAMT勧告法に近い基準が,リンパ球にはJSLH標準法案に近い基準が用いられており,この両法を効率よく使用することは,最新の標準法に合わせつつ現在の基準を大きく逸脱しない使用法として推奨できる.また,問題内容のレベルを2段階に分け,出現頻度が高く日常検査上見逃しが許されない異常を必須問題,出現頻度は低いが知識として必要な異常を参考問題とし,特に前者については全員の目標値到達を目指した.同一問題の繰り返し使用については,前回との比較が容易である反面,丸覚えの危険があるので6ヶ月の空白期間を作り,その間は問題については一切触れないよう留意した.
Author 井上, 史江
秋田, 豊和
宮野, 悟
上野, 寿行
丹羽, 欣正
鈴木, 久惠
櫻井, 香織
Author_xml – sequence: 1
  fullname: 井上, 史江
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
– sequence: 1
  fullname: 丹羽, 欣正
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
– sequence: 1
  fullname: 宮野, 悟
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
– sequence: 1
  fullname: 上野, 寿行
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
– sequence: 1
  fullname: 鈴木, 久惠
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
– sequence: 1
  fullname: 櫻井, 香織
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
– sequence: 1
  fullname: 秋田, 豊和
  organization: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
BookMark eNo90D1Lw1AUBuCLKFhrJ39H6v1IbnI2pWgVCi46X27S25qQD0ni4GYbB8FBECs4SbcKImLBQcQ_czX2Z5hScTjvGV54Dpw1tBwnsUJog-AmMYHRzUBGeZMwA_gSqlHiOIbFTL6MahiIZTicwypqZJnvYowdm4Bl1xCUk_vy_a6cjvTw5ud2ogcXevAwG5-Xb6_fxbUuLnXxpIsPXVzpYqqHL3rwPHscfX2O19FKT4aZavztOjra3Tls7Rmdg_Z-a7tjBJQ7ttFVnmsr2_JscEAC9SRwADAtYmLKmMUZppJhoIr0bE5ds-uanqt63CQwH1ZH7YUbqa7vyTCJQz9WIkhO07i6K7w-D4IkygXFxBQYV6AlMOECc8rm4VBGAFO7krYWUpDlsq_ESepHMj0TMs19L6zI6n-CM2HNgzAB_L_yjmVa9ewXgo992Q
ContentType Journal Article
Copyright 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
Copyright_xml – notice: 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
CorporateAuthor 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
CorporateAuthor_xml – name: 神戸市立医療センター中央市民病院LSIメディエンス検査室
DOI 10.14932/jamt.13-96
DatabaseTitleList

DeliveryMethod fulltext_linktorsrc
EISSN 2188-5346
EndPage 628
ExternalDocumentID cg6jjomt_2014_006305_016_0623_06282319027
article_jamt_63_5_63_13_96_article_char_ja
GroupedDBID ABJNI
ALMA_UNASSIGNED_HOLDINGS
JSF
KQ8
MOJWN
OK1
RJT
ID FETCH-LOGICAL-j2687-decb7e75c7989a92ca969994514023356302a3092e1f762b4db4cbef641964193
ISSN 0915-8669
IngestDate Thu Jul 10 16:10:40 EDT 2025
Wed Sep 03 06:30:28 EDT 2025
IsDoiOpenAccess true
IsOpenAccess true
IsPeerReviewed false
IsScholarly false
Issue 5
Language Japanese
LinkModel OpenURL
MergedId FETCHMERGED-LOGICAL-j2687-decb7e75c7989a92ca969994514023356302a3092e1f762b4db4cbef641964193
OpenAccessLink https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/63/5/63_13-96/_article/-char/ja
PageCount 6
ParticipantIDs medicalonline_journals_cg6jjomt_2014_006305_016_0623_06282319027
jstage_primary_article_jamt_63_5_63_13_96_article_char_ja
PublicationCentury 2000
PublicationDate 20140925
PublicationDateYYYYMMDD 2014-09-25
PublicationDate_xml – month: 09
  year: 2014
  text: 20140925
  day: 25
PublicationDecade 2010
PublicationTitle 医学検査
PublicationTitleAlternate 医学検査
PublicationYear 2014
Publisher 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
日本臨床衛生検査技師会
Publisher_xml – name: 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
– name: 日本臨床衛生検査技師会
References 2) 日本臨床衛生検査技師会血液形態検査標準化ワーキンググループ:血液形態検査に関する勧告法,医学検査 1996;45:1659–1671.
3) 日本臨床衛生検査技師会血液検査研究班:細胞分類の基礎と特殊染色,新血液細胞アトラス,1–19,日本臨床衛生検査技師会,東京,2002.
7) 山口孝一,他:血球形態標準化の検証 好中球 桿状核球と分葉核球:SIRS症例での検証,日本検査血液学会誌 2013;14:S78.
6) 三島清司,他:血液形態標準化案の比較検証,日本検査血液学会誌 2010;11:328–335.
4) 松野一彦:血液検査の標準化の問題点,日本検査血液学会誌 2003;4:322–330.
1) NCCLS : Reference leukocyte differential count (proportional) and evaluation of instrumental methods ; approved standard, NCCLS document H20-A, Vol. 12, No. 1, 1992.
5) 坂場幸治,他:血液形態分野の標準化,日本検査血液学会誌 2010;11:427–433.
References_xml – reference: 2) 日本臨床衛生検査技師会血液形態検査標準化ワーキンググループ:血液形態検査に関する勧告法,医学検査 1996;45:1659–1671.
– reference: 3) 日本臨床衛生検査技師会血液検査研究班:細胞分類の基礎と特殊染色,新血液細胞アトラス,1–19,日本臨床衛生検査技師会,東京,2002.
– reference: 7) 山口孝一,他:血球形態標準化の検証 好中球 桿状核球と分葉核球:SIRS症例での検証,日本検査血液学会誌 2013;14:S78.
– reference: 1) NCCLS : Reference leukocyte differential count (proportional) and evaluation of instrumental methods ; approved standard, NCCLS document H20-A, Vol. 12, No. 1, 1992.
– reference: 5) 坂場幸治,他:血液形態分野の標準化,日本検査血液学会誌 2010;11:427–433.
– reference: 4) 松野一彦:血液検査の標準化の問題点,日本検査血液学会誌 2003;4:322–330.
– reference: 6) 三島清司,他:血液形態標準化案の比較検証,日本検査血液学会誌 2010;11:328–335.
SSID ssib000871957
ssib005879971
ssib029852134
ssib058492958
ssj0002505185
Score 1.6130979
Snippet ...
「要旨」 血液形態学における細胞観察のトレーニングは, 血液検査部門内でのレベルアップ及びその後の高レベル維持に必要不可欠である. しかしながら, トレーニングに必要な絶対的基準が無く, 現在のところJAMT勧告法かJSLH標準法案を参考に対応しているのが現状である. 両法を対比すると,...
SourceID medicalonline
jstage
SourceType Publisher
StartPage 623
SubjectTerms JAMT勧告法
JSLH標準法案
トレーニング
好中球形態
血液像
赤血球形態
Title 標準法を用いた血液像トレーニングの評価
URI https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/63/5/63_13-96/_article/-char/ja
http://mol.medicalonline.jp/library/journal/download?GoodsID=cg6jjomt/2014/006305/016&name=0623-0628j
Volume 63
hasFullText 1
inHoldings 1
isFullTextHit
isPrint
ispartofPNX 医学検査, 2014/09/25, Vol.63(5), pp.623-628
link http://utb.summon.serialssolutions.com/2.0.0/link/0/eLvHCXMwpV3Na9RAFA9tvQgiior1ix6cY2o-Zibzbk62WYqiILTQW0iyWXHBtuj24sl2PQgeBLGCJ-mtgohY8CDi3-E9uvbP8L3J7G5aPVSFMLydvHnvN_MmO2--HecqD4tC-bLjdks_d3kYlW7WFYXrd7qeUCoTXk5DA7duy8VlfmNFrExNf2usWtro5_PFoz_uK_kXq2Ic2pV2yf6FZcdCMQJptC-GaGEMj2RjlkimFQMgItYMpCFCBoIlIVMBg4AlEQNObBTjM8UtAW2WKKZ9WutAqfBBZsEUvm0bHnyUJXTLEvGIUPEoJrS6Ys9K1omRDAYGZ3GCWppOsNHSYnFMhF5g2sDWnEGLCAQWjyeCjAA9kqSY0lQpjIS2AYywKS8H-BWLgfKNmuOFml9SFnRoCNQYTvgF4SXIwFTEVDLip9I7LBa1H2TDxAhjXJKt5iCKz2nFR73h2lT7kRCP2LFoqVAjyjfiREkQW4DWgCbjsTZgAPmEIVommSIQZFNBTATLAEARtbnJuIeL1GRKG_WCcOjY6Ggx0M0BW1-4StYX28yXJg79M-WK0A7i2vbMNhj3misGTOMk653d1s-R9ab835pQjh59fXdDf94PXTh0ULlxfWyNT4kplWEqKPDDFGQ6ekWbBvH9tHMsiCKzgOLmnabjH_nQmG8XKgKYdEwCUIKOGhz9Ri8Z3Xg7f08-Fjnuvrlvd1wsdvMtwb82AY-OZQ-7WXR-xon79dRnfQRNw4tcOuWctN2_OV3DP-1M9bIzDgx3Xw8_vxrubVdbL36-3K02n1Sbb_Z3Hg8_ffwxeF4NnlaDd9XgSzV4Vg32qq0P1eb7_bfb37_unHWW28lSa9G1V5q4vUBic94pizwqI1FEoCCDoMhAYheNY7cFneeQDusLstCDoPS76KbkvJPzIi-7ktPBedjZOufMrK6tluedOQEqCzwu8zIKeKbyjPNu4XcE7VYPlM9nHahznq7X59akR7farHP9QGGl9k_vYVrclb3eGqanryg1J_aJlFaJeli7KKBlBeAF0YX_UH_ROT75SC85M_0HG-Vl9P37-RVTjX4BtG_N_g
linkProvider Colorado Alliance of Research Libraries
openUrl ctx_ver=Z39.88-2004&ctx_enc=info%3Aofi%2Fenc%3AUTF-8&rfr_id=info%3Asid%2Fsummon.serialssolutions.com&rft_val_fmt=info%3Aofi%2Ffmt%3Akev%3Amtx%3Ajournal&rft.genre=article&rft.atitle=%E6%A8%99%E6%BA%96%E6%B3%95%E3%82%92%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%9F%E8%A1%80%E6%B6%B2%E5%83%8F%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E8%A9%95%E4%BE%A1&rft.jtitle=%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E6%A4%9C%E6%9F%BB&rft.au=%E4%BA%95%E4%B8%8A%2C+%E5%8F%B2%E6%B1%9F&rft.au=%E4%B8%B9%E7%BE%BD%2C+%E6%AC%A3%E6%AD%A3&rft.au=%E5%AE%AE%E9%87%8E%2C+%E6%82%9F&rft.au=%E4%B8%8A%E9%87%8E%2C+%E5%AF%BF%E8%A1%8C&rft.date=2014-09-25&rft.pub=%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%A4%BE%E5%9B%A3%E6%B3%95%E4%BA%BA+%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%87%A8%E5%BA%8A%E8%A1%9B%E7%94%9F%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E6%8A%80%E5%B8%AB%E4%BC%9A&rft.issn=0915-8669&rft.eissn=2188-5346&rft.volume=63&rft.issue=5&rft.spage=623&rft.epage=628&rft_id=info:doi/10.14932%2Fjamt.13-96&rft.externalDocID=article_jamt_63_5_63_13_96_article_char_ja
thumbnail_l http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/lc.gif&issn=0915-8669&client=summon
thumbnail_m http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/mc.gif&issn=0915-8669&client=summon
thumbnail_s http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/sc.gif&issn=0915-8669&client=summon