大動脈弁置換術における心電図ストレインの頻度及び術後変化と予後との関連

(背景)大動脈弁狭窄症(aortic stenosis: AS)において心電図ストレインは左室心筋の線維化や予後との関連が報告されているが大動脈弁置換術(aortic valve replacement: AVR)前後の変化や予後との関連,また治療方法の比較について検討したものはない。 (目的)今回我々はAS患者におけるAVR前後の心電図ストレインの頻度及び変化と予後との関連を検討した。 (方法)当施設において2014年〜2017年に高度ASに対してAVRを施行した後ろ向き連続281例の内,単独AVRを行い,一年後心電図評価が行えた129例を対象とした。術前及び術一年後に標準12誘導心電図と経...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 115 - 124
Main Authors 杵渕, 聡志, 出雲, 昌樹, 桒田, 真吾, 北, 翔太, 鈴木, 寛俊, 奥山, 和明, 上嶋, 亮, 大野, 真, 田邉, 康宏, 明石, 嘉浩, 宮入, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2019
聖マリアンナ医科大学医学会
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Summary:(背景)大動脈弁狭窄症(aortic stenosis: AS)において心電図ストレインは左室心筋の線維化や予後との関連が報告されているが大動脈弁置換術(aortic valve replacement: AVR)前後の変化や予後との関連,また治療方法の比較について検討したものはない。 (目的)今回我々はAS患者におけるAVR前後の心電図ストレインの頻度及び変化と予後との関連を検討した。 (方法)当施設において2014年〜2017年に高度ASに対してAVRを施行した後ろ向き連続281例の内,単独AVRを行い,一年後心電図評価が行えた129例を対象とした。術前及び術一年後に標準12誘導心電図と経胸壁心臓超音波を評価した。予後として全死亡及び心不全入院の評価を行った。 (結果)対象129例中,術前心電図ストレインを認めた症例は53例(41.1%),うち術後改善した症例は32例(60.4%)であった。術前ストレイン群は非ストレイン群と比較して左室高電位の割合やAS重症度が高かったが,ストレイン改善の割合は治療方法で差を認めなかった。年齢,AS重症度,治療方法が術後予後と有意な関連を認めたが,術前ストレインや術後ストレインの改善の有無は関連を認めなかった。 (結語)ASにおける心電図ストレインは治療介入により約60%に改善を認め,治療方法にその差は認めなかった。術前ストレインの有無や治療による改善と術後予後とに関連を認めなかったが更なるエビデンスの構築が必要と考える。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.47.115