微生物検査室が発信する血液培養陽性初期情報の有用性と診療支援効果

微生物検査室が発信する血液培養陽性初期情報の有用性について調査を行った。2016年4月から2017年3月までの血液培養陽性検体で菌血症と判定された437例を対象とした。血液培養陽性後,直ちにGram染色を実施し,塗抹所見から推定される菌種情報を「第一報」とし1時間以内にて診療側へ報告した。第一報と最終報告との一致率は92.7%であった。微生物検査室からの第一報を受けて328例(75.1%)は推定菌に関するカルテ記載があり,284例(65.0%)で抗菌薬に関する記載が認められた。また,使用中の抗菌薬が変更されたのは220例(50.3%)で,そのうち第一報後の変更は98例(22.4%)であった。変...

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Published in医学検査 Vol. 68; no. 3; pp. 533 - 539
Main Authors 大川, 浩永, 諸戸, 昭代, 山本, 由紀恵, 伊藤, 楓, 寺澤, 圭祐, 中根, 一匡, 宮田, 栄三, 左右田, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会 25.07.2019
日本臨床衛生検査技師会
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Summary:微生物検査室が発信する血液培養陽性初期情報の有用性について調査を行った。2016年4月から2017年3月までの血液培養陽性検体で菌血症と判定された437例を対象とした。血液培養陽性後,直ちにGram染色を実施し,塗抹所見から推定される菌種情報を「第一報」とし1時間以内にて診療側へ報告した。第一報と最終報告との一致率は92.7%であった。微生物検査室からの第一報を受けて328例(75.1%)は推定菌に関するカルテ記載があり,284例(65.0%)で抗菌薬に関する記載が認められた。また,使用中の抗菌薬が変更されたのは220例(50.3%)で,そのうち第一報後の変更は98例(22.4%)であった。変更のタイミングは,グラム陽性球菌群では第一報後,グラム陰性桿菌群では最終報告後でその割合が高かった。血液培養陽性時は,迅速かつ詳細な情報提供が臨床における抗菌薬選択の一助となる。今回の調査で,微生物検査室からの推定菌情報を含む第一報が,医師によるカルテ記載や抗菌薬投与,薬剤変更などの直接行動に繋がることが確認できた。以上から,血液培養陽性情報の迅速報告は,診療支援に貢献すると考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.18-69