リバーロキサバンが有効であった潰瘍性大腸炎に合併した深部静脈血栓症

炎症性腸疾患は深部静脈血栓症のリスクであり,合併すると致死的になる可能性がある.また最近深部静脈血栓症に対する第Ⅹa因子阻害薬の有効性が確立した.今回潰瘍性大腸炎寛解期に発症した深部静脈血栓症に対してリバーロキサバン投与が有効であった症例を経験した. 48歳の女性.6年前に全大腸炎型潰瘍性大腸炎を発症し,アザチオプリン,メサラジン投与で寛解を得ていた.特に誘因なく左下腿浮腫が出現し,左腸骨静脈内に広範な血栓を認めた.深部静脈血栓症と診断し,未分画ヘパリン投与で加療を開始した後に,リバーロキサバン30 mgに変更し血栓は縮小した.以降15 mgの継続投与として6カ月間出血等の合併症はなく病状は安...

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Published in心臓 Vol. 50; no. 4; pp. 412 - 415
Main Authors 岡島, 嵩, 小川, 恭弘, 新井, 健史, 本村, 名里子, 安達, 健, 榊原, 慶祐, 田代, 詳, 林, 元春, 許, 聖服, 今井, 元, 川口, 克廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.2018
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:炎症性腸疾患は深部静脈血栓症のリスクであり,合併すると致死的になる可能性がある.また最近深部静脈血栓症に対する第Ⅹa因子阻害薬の有効性が確立した.今回潰瘍性大腸炎寛解期に発症した深部静脈血栓症に対してリバーロキサバン投与が有効であった症例を経験した. 48歳の女性.6年前に全大腸炎型潰瘍性大腸炎を発症し,アザチオプリン,メサラジン投与で寛解を得ていた.特に誘因なく左下腿浮腫が出現し,左腸骨静脈内に広範な血栓を認めた.深部静脈血栓症と診断し,未分画ヘパリン投与で加療を開始した後に,リバーロキサバン30 mgに変更し血栓は縮小した.以降15 mgの継続投与として6カ月間出血等の合併症はなく病状は安定している.潰瘍性大腸炎寛解期に合併した深部静脈血栓症に対して経口第Ⅹa因子阻害薬は有効であり,安全に投与可能であることが示唆された.今後炎症性腸疾患に合併した血栓症に対しても経口第Ⅹa因子阻害薬が選択肢となり得る.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.412