アミオダロン誘因性肺障害としての肺胞出血を発症した1例
心尖部肥大型心筋症を有しICD植込みされている77歳男性.非持続性心室頻拍に対し5年前よりアミオダロン100 mg内服を開始.過去に心原性脳塞栓症を発症しており,心室内血栓の疑いがあったためワルファリンにて抗凝固治療が行われていた.今回,血痰と呼吸困難を主訴に当院に救急搬送となった.CT検査にて両側肺野に広範囲網状浸潤陰影を認め,肺胞出血と診断して非侵襲的陽圧換気(NPPV)を開始した.来院時PT-INR 4.58と延長しており,肺胞出血の原因と考えられたため,静注用人プロトロンビン複合体製剤でワルファリンを拮抗し,かつアミオダロンは肺胞出血の原因となる可能性を考えて中止とした.しかし,PT-...
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Published in | 心臓 Vol. 56; no. 4; pp. 391 - 396 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.04.2024
日本心臓財団・日本循環器学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.56.391 |
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Summary: | 心尖部肥大型心筋症を有しICD植込みされている77歳男性.非持続性心室頻拍に対し5年前よりアミオダロン100 mg内服を開始.過去に心原性脳塞栓症を発症しており,心室内血栓の疑いがあったためワルファリンにて抗凝固治療が行われていた.今回,血痰と呼吸困難を主訴に当院に救急搬送となった.CT検査にて両側肺野に広範囲網状浸潤陰影を認め,肺胞出血と診断して非侵襲的陽圧換気(NPPV)を開始した.来院時PT-INR 4.58と延長しており,肺胞出血の原因と考えられたため,静注用人プロトロンビン複合体製剤でワルファリンを拮抗し,かつアミオダロンは肺胞出血の原因となる可能性を考えて中止とした.しかし,PT-INR正常化維持にもかかわらず,第3病日に呼吸不全が急速に進行し肺陰影も増強したため,アミオダロンによる薬剤性肺胞出血を疑いステロイドパルス療法を行ったところ,呼吸状態が著明に改善.ステロイドが奏功しNPPV離脱に成功した. アミオダロンによる薬剤性肺障害としては間質性肺炎が頻度も高く一般的とされるが,極めて稀に肺胞出血をきたしうると報告されている.本症例は肺胞出血の病因が抗凝固治療のみでは説明困難な経過であり原因診断に難渋したが,薬剤性以外の病因をすべて除外し,かつステロイドへの反応性からアミオダロンによる薬剤性肺障害としての肺胞出血と考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.56.391 |