pial arteriovenous fistulae(pial AVF)に伴い高心拍出性心不全をきたした1例

症例は27歳女性.頭痛,嘔吐,意識障害のため入院し,pial arteriovenous fistulae(pial AVF;脳軟膜動静脈瘻)に伴うくも膜下出血が認められた.降圧薬使用下に経動脈的塞栓術を施行した後に肺水腫をきたし,利尿薬に加え人工呼吸管理を要した.神経原性肺水腫も考えられたが,心臓カテーテル検査を行うと心拍出量は熱希釈法で14.55 L/分,平均肺動脈楔入圧は17 mmHgであり,高心拍出性心不全と診断した.このとき,上大静脈ばかりでなく,下肢から下大静脈にかけても静脈血酸素飽和度が90%以上と高く,高心拍出はpial AVFによるシャント血流に加え,末梢血管拡張により全身で...

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Published in心臓 Vol. 52; no. 3; pp. 321 - 326
Main Authors 小出, 伸, 萱森, 裕美, 柏村, 健, 安藤, 和弘, 長谷川, 仁, 大久保, 健志, 保屋野, 真, 栁川, 貴央, 小澤, 拓也, 尾崎, 和幸, 藤井, 幸彦, 南野, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.03.2020
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:症例は27歳女性.頭痛,嘔吐,意識障害のため入院し,pial arteriovenous fistulae(pial AVF;脳軟膜動静脈瘻)に伴うくも膜下出血が認められた.降圧薬使用下に経動脈的塞栓術を施行した後に肺水腫をきたし,利尿薬に加え人工呼吸管理を要した.神経原性肺水腫も考えられたが,心臓カテーテル検査を行うと心拍出量は熱希釈法で14.55 L/分,平均肺動脈楔入圧は17 mmHgであり,高心拍出性心不全と診断した.このとき,上大静脈ばかりでなく,下肢から下大静脈にかけても静脈血酸素飽和度が90%以上と高く,高心拍出はpial AVFによるシャント血流に加え,末梢血管拡張により全身で血流が増加しているためと考えられた.β遮断薬に続き,再度経動脈的塞栓術を行うことで心拍出量が正常化し,以後心不全の再発はみられなかった.pial AVFに起因した高心拍出性心不全の成人症例はこれまで報告がなく,病態についての考察を交えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.321